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2005年11月8日
【「勝ち組」主導による資産バブルの兆し】


  郵政民営化の是非を焦点とした真夏の衆議院総選挙は、予想をはるかに超える自民党の歴史的大勝利に終わり、郵政事業民営化法案もすんなりと可決、10月末の内閣改造によって第3次小泉内閣がスタートした。ただ、経済政策については、景気回復基調の維持、金融不安の沈静化といった現在の経済環境からして大幅な軌道修正はないと見られる。

  そうしたなか、「ポスト・デフレ」として、空前のカネ余り、過剰流動性を背景とした「資産バブル」の兆しが見え始めている。その象徴が、株式、不動産の"バブル再燃"であり、実際、このところの株式、不動産の資産価格の上昇ぶりは、すでにバブルの様相を見せている。

  日経平均株価は5年ぶりの高値を付けて1日の出来高も30億株を超え、株式市場は巨額にのぼるマネーゲームに沸いている。一方、不動産価格も基準地価が東京23区で15年ぶりにプラスに転じ、急成長を遂げている上場型不動産投信(REIT)などの不動産ファンドは過熱感さえ漂いはじめ、そのターゲットが首都圏から地方都市へと波及、総体としては、"資産デフレ"に歯止めがかかりつつある。

  その背景としては、総選挙突入直前に景気の踊り場からの脱却宣言がなされ、債務・設備・雇用の3つの過剰もほぼ解消。企業倒産は減少傾向を辿り、不良債権処理もようやく峠を越えるなど日本経済のファンダメンタルズの改善が挙げられる。

  財務省の法人企業統計によると、2004年度の日本企業の経常利益はバブル期を上回る45兆円に達し、上場企業の経常利益も2期連続の過去最高水準を記録。上場企業の純有利子負債もバブル後最低の100兆円を割り込むなど、企業業績の改善は顕著になっている。一方で、上場企業の手元流動性は40兆円を超えるなど余剰資金は膨張している。

  また、8月の民間銀行の貸出残高が久々にプラスに転じたことは、低迷していたマネーサプライがようやく回復基調に乗りつつあることを示唆しており、資金がリスクマネーへ還流するシグナルとして捉えられる。

  そして、何といっても未曾有の超低金利が依然として続いていることである。たしかに、すでに4年半を経過した日銀による量的緩和は、そろそろ転換期を迎えている。ただ、「量的緩和の解除は早くても2006年春頃で、その後もしばらくはゼロ金利が維持される公算が大きい」(金融関係者)との見方が大勢を占めており、その後の利上げ幅も限定されるとともに、消費者物価がプラスに転じれば、実質金利がマイナスになる可能性もある。いずれにしても、当面は低金利が続くというわけである。

  そのほかでは、2002年4月のペイオフ一部解禁による定期性預金の流出や株式投信の銀行販売解禁に加えて、2005年10月から郵便局でも投信販売がスタートしていることも見逃すことはできない。今後も、民営化後の郵貯も株式などへ流入することが予想され、団塊の世代の88兆円という巨額にのぼる退職金も土地、株へと向かう可能性もある。

  さらに、政策的にも、市場経済のリスクの導入や優勝劣敗を招く自由競争をもはや回避することはできない。もちろん、日本経済の復活、税収の嵩上げのためにも、やはり「資産バブル・資産インフレ政策」へシフトしていく可能性が大きいと見るべきだろう。

  ただ問題は、その恩恵を受けるのは、企業も個人も一部の勝ち組に限定される公算が大きく、多くの負け組との格差拡大が加速していくという懸念である。さらに、こうしたバブルのソフトランディングも大きな課題になることはいうまでもない。


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