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2005年12月7日
【注目の公的金融セクター再編の行方】


  郵政改革の次なるターゲットのひとつが、「政府系金融機関改革」。資金の「入り口」が郵貯・簡保だとすれば、その「出口」にあたるのが約90兆円もの融資残高を抱える政府系金融機関であり、この改革なくして公的金融改革は完結しない。

  戦後の官主導による高度成長期を経て、バブル崩壊後の金融システムが疲弊していた時期には、企業再生ファンドの創設やDIPファイナンス、中小企業融資などの役割を担ってきた政府系金融機関だが、いまや金融環境は大きく変わっている。

  すでに政府系金融機関のなかで、住宅金融公庫は2007年度の独立行政法人化が決まっていたが、11月末になって日本政策投資銀行、中小企業金融公庫、国際協力銀行など8機関の統廃合の具体案が明らかになった。

  当初は、公表分だけでも8兆円を超えている政府系金融機関の不良債権処理問題とともに、「財務省や経産省などの天下り先であることで激しい抵抗も予想され、とても一筋縄にはいきそうもない」(金融関係者)との危惧もあったが、小泉首相のトップダウンの指示によって再編への道筋が示されたのだった。

  政府・与党が合意したその具体案とは、まずは8つの政府系金融機関を1機関に統合する。国際協力銀行は解体し、国策上必要な資源・エネルギー開発などを新たに政府系金融に一本化。国民生活、中小企業、農林漁業、沖縄振興開発の4金融公庫は統合、一方で商工中金は2008年度から7年、日本政策投資銀行は同5年で完全民営化するというもの。

  今後の問題としては、政府の出資継続による民業圧迫を回避する具体的なスキーム作りとともに、政府系が多額の融資を行ってきた大手企業、第3セクター、中小零細企業、地場企業などへの影響も注目される。民間金融機関の貸出残高がプラスに転じたとはいえ、「金融機関の審査姿勢は依然として厳しい」(中小メーカー)との声が多い。たしかに貸出残高の増加も、住宅ローンや協調融資(シンジケートローン)、ノンリコースローンに依るところが大きく、いまだに保証協会への依存も目立ち、決して民間銀行のリスクテイクが向上したわけではない。それだけに、中小公庫などの政府系の統廃合、民営化による中小零細企業への影響は払拭できない。

  さらに、地銀・第2地銀、信金・信組といった地域金融機関の再編・淘汰もまだ道半ばであるだけに、地域経済や地場企業にとっては、なおさら今回の政府系金融機関改革の行方が気になるところ。

  それから、郵貯同様、巨額の資金を持つ「アグリ・マネー」、いわゆる農業資金の改革の行方も見逃すことはできない。農協の預金量は78兆円にも達し、一方で農協そのものの役割の見直しも相まって水面下では農協マネーの民営化論が浮上しつつあるようで、こちらの公的セクターの動きも注目される。

  いずれにしても、民間金融の再編、不良債権処理がとりあえず一段落した後は、公的金融の再編・淘汰が当面の焦点になる。


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