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2006年1月13日
【バブルの反動と耐震強度偽装問題に揺れるマンション業界】


  バブルの追い風を受けてきたマンション業界に、バブルの反動とともに耐震強度偽装事件の影響がジワジワと押し寄せている。

  2005年9月中間決算では、三菱地所、三井不動産などの大手は軒並み過去最高益を記録。地価の下落、住宅ローン減税、一部の勝ち組による超高額物件の購入などの追い風を受け、上場型不動産投信(REIT)などの不動産ファンドの台頭も"不動産バブル"に拍車をかけた。

  なかでも、首都圏の超高層マンションは好調を維持。不動産経済研究所の発表によると、2005年10月の首都圏のマンション発売戸数は前年同月比8.9%増を記録し、契約率も6ヵ月連続の80%超え。11月も同2.3%減となったものの、契約率は3.3ポイント増の83.7%と、好調の目安とされる70%を10カ月連続で上回っている。

  このように、好調に推移しているマンション業界だが、ここにきて都心一等地の不動産市場に過熱感が見え始めているという。「競争激化と大量供給、マンション建設ラッシュによって需給バランスが崩れつつある」(業界関係者)ことが背景にあり、それに伴って不動産ファンドの利回りも低下傾向にあるという。

  ちなみに、東京都心の土地の仕入れ価格は、「ここ1年あまりで2〜3割もの上昇を見せている」(業界関係者)という。今後、都心一等地の地価上昇に伴って土地取得価格がさらに上昇、マンション価格が値上がりすれば、消費者の購買意欲が冷める懸念もある。

  その結果、規模と体力に勝る大手不動産の寡占化が進展していくようになれば、用地仕入れの競争激化と価格競争のあおりを受ける形で、資金力に乏しい中堅以下のデベロッパーは厳しい状況に追い込まれる可能性は否定できない。また、今後の金利上昇リスクによって、不動産市場がさらに失速する懸念もある。

  こうして新築マンション市場はピークを越え、陰りが見え始めていた矢先の今回の耐震強度偽装事件が、マンション・バブルに冷や水をかけることは間違いない。安全性への疑念が生じ、その連想がスパイラル的に消費者心理に影響していることは大きな痛手であり、各社とも不信感を振り払うのに必死だ。

  特に都心の一極集中から郊外、地方都市への波及に期待を賭けていただけに、マンションに対する信頼が揺らいだことに対するダメージは計り知れない。実際、昨年12月からは、「休日のモデルルーム来場者が3〜4割も減っている物件もある」(大手デベロッパー)といった声も出始めている。

  不動産経済研究所の主要マンション業者100社を対象にしたヒアリング調査(回答42社)によると、およそ6割の業者が今回の事件による買い控えや販売価格の下落など「市場全体に影響が出る」と回答、「影響はない」との回答はゼロだった。また、自社物件の売れ行きについて、「すでに影響が出ている」は7%、「今後出る」は17%にのぼった。

  さらにこのヒアリング調査の時期が、今回の耐震強度偽装事件で「住宅性能表示制度」に基づく検査でも見抜けなかったケースが発覚する前であることから、実態はさらに深刻化していることは想像に難くない。

  これまで景気回復の一翼を担ってきた不動産業界だが、供給不足から土地の仕入れに苦慮するケースが見え始めてきたところへの今回の耐震強度偽装問題によって、今後は大手と中小の二極化が鮮明になり、不動産業者の倒産リスクが拡大していく懸念も拭えない。


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