トピックス
2006年4月7日
【量的金融緩和解除の影響は】


  今年のエポックメーキングのひとつが、5年に及ぶ超金融緩和からの脱却、「量的緩和解除の行方」だったが、1月の全国消費者物価指数(CPI)が前年同月比0.5%増となったことで、3月8、9日の日銀の金融政策決定会合でついに解除された。

  ただしゼロ金利は継続となり、30〜35兆円にのぼる日銀の当座預金残高を減らすためには半年程度の時間を要するとともに、ゼロ金利解除の目安として「物価上昇率が前年比0〜2%」という微妙な設定がされていることからも、利上げ時期は流動的な面があるが、現段階ではゼロ金利解除は最短で秋口、遅くても年明けとの見方が有力だ。

  しかし、利上げが実施されたとしても、「当初の利上げ幅は0.2〜0.3%程度」(金融関係者)にとどまるものと予想され、長期金利の上昇も限定されそうなことから、当面の影響は軽微にとどまると見られる。

  本来であれば、いうまでもなく金利上昇は「円高株安」に働く。しかし、「米国の利上げが先行していることで日米の金利差は拡大傾向にあることから、当面は円安ドル高に動く」(証券アナリスト)ことや、株式市場も依然として過剰流動性相場の色彩が濃いうえに企業業績も好調なことから、しばらく「円安株高」傾向は維持されそうだ。

  もちろん、住宅ローンは市場金利と連動して上昇、預金金利も当面は低水準で推移するものとみられるなど、家計にとってはマイナス材料が多い。一方で、長らく収益が低迷していた銀行にとっては預貸金利ザヤの改善につながることは間違いない。

  産業界を見渡すと、過剰債務企業は見当たらないどころか、余剰マネーさえ膨れ上がっている現状からして、大手企業へ与えるダメージは小さいだろう。強いて言えば、有利子負債が多く、短期借入比率が高い信販・リースなどのノンバンクセクターが注目されるが、いずれも本業は堅調であり、急速に金利上昇リスクが顕在化する可能性は小さい。

  ただ、最高裁判決で利息制限法を超える出資法の上限金利を否定されたことで厳しい立場に追い込まれている消費者金融業界にとっては、利上げによる資金調達コストの増加はダブルパンチとなり、中小クラス淘汰の引き金になるかも知れない。また、都心部の地価高騰によって用地の仕入れ価格が急騰している不動産業界では、いずれは中小デベロッパーが打撃を受けそうだ。

  それでは中堅・中小零細企業への影響はどうか。ようやく景気回復、大手企業の業績回復の恩恵も裾野が広がりつつあり、こちらも総体としては即座にダメージを受ける可能性は小さいとみられる。

  とはいえ、一方でいまだ水面下にある中小企業は決して少なくはない。本業のキャッシュフロー縮小に歯止めがかからないなかでの中・長期金利の上昇によって、銀行借り入れに依存しているところは厳しい状況に追い込まれる。特に建設、流通、サービスなどオーバープレイヤー状態の業界では、超金融緩和というこれまでの異常事態から市場メカニズムが働くようになることで、いずれは淘汰の加速要因になっていくはずだ。地銀、第2地銀、信金、信組などの地域金融機関は、金融緩和解除によって融資の信用リスクが増加するうえに、再編、不良債権処理ともに道半ばにあるだけに、中長期的には地場企業へのダメージが懸念される。

  また、都心部の中小企業を中心として、新たな資金調達や設備投資の失敗による「好況型」の倒産が増加基調を見せていることも気がかりではある。


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