トピックス
2006年7月7日
【露呈した新興ベンチャー企業の経営リスク】


  ライブドアの証券取引法違反容疑による経営トップの逮捕を契機として、"新興ベンチャーバブル"が弾け、その後の村上ファンドのインサイダー取引摘発によって、新興市場や投資ファンドに対する不信感は決定的となった。その煽りを受けて、新興市場の株価は軒並み急落。楽天、USEN、インデックス、サイバーエージェントなどネット関連の代表銘柄も大きく値を下げた。

  新興市場銘柄の明らかに実力を超えた高株価の原動力は、言うまでもなくネット経由の個人投資家。一連の不祥事によって冷や水が浴びせられたことで萎縮へと向かうのは避けられず、JASDAQ、東証マザーズ、大証ヘラクレスといった新興市場の回復にはかなりの時間を要することになりそうだ。

  また、新興銘柄が内包する問題が露呈されたことで、新興ベンチャーが抱える経営リスクも一気に表面化。今後は、「ITなどの新興ベンチャー企業の選別が加速し、株価や社債の下落とともに、金融機関や取引先のスタンスも厳しさを増す」(金融関係者)ことになる。さらに、国会で金融商品取引法が成立し、金融当局の締め付けも厳しくなる。実体を伴わないビジネスモデルや不透明なM&Aと巧みなIRによって時価総額を膨らませている企業は、監査法人も含めて厳しい目にさらされることになり、なかには破綻、身売りを迫られるケースもあり得ないことではない。

  もちろん、新興ベンチャーの多くは財務リスクが限定されているだけに、倒産・破綻ラッシュこそ想定できないものの、株価の下落、事件化、アングラ勢力の介入など、あらゆるリスクが蔓延していることは間違いない。

  言うまでもなく、新興ベンチャーの見分け方、与信管理には、従来とは異なる審査基準、情報入手ルートが不可欠となる。というのも、銀行借り入れは少なく、手形も扱わないことから財務リスクは極めて小さく、金融機関や金融業者情報は極端に少ないからである。それ故、マーケット情報や投資ファンド、ベンチャーキャピタル情報、時にはアングラ情報も有効となる。つまり、「定量分析」よりも、「定性分析」がより重要となるわけだ。そこで、新興ベンチャーを見分けるチェックポイントをあげてみると―――。

1.トップマネジメントの見極め
ライブドアや過去に破綻、事件化したケースを見るまでもなく、やはり経営者の資質の把握・見極めが最重要ポイントとなる。また会社設立の背景・経緯とともに、新興ベンチャーの最大の武器が、「人脈」であることからも、その側面からのチェックも肝要。。

2.有価証券報告書のチェック
有価証券報告書から、株主、役員、業績推移、取引先、決算書などを分析・評価する。とくに、経営権や主要株主の異動、度重なる代表者・役員交代の手口は、乗っ取りなどの常套手段。特定の企業や人物が、複数の企業で度々登場するケースも多い。事業再生・投資ファンド、さらには幹事証券のチェックも必要だろう。ただ、多くの新興ベンチャーは事業・経営形態があまりにめまぐるしく変わるため、有価証券報告書の公表ベースでは追い付かないのも事実。その場合、リアルタイムでの決算短信のフォローとなるが、ライブドアのように短信と有報に差異が生じていたケースもある。

3.コア事業の分析と将来性
もちろん、ビジネスモデル自体の検証は欠かせない。本業の将来収益性、同業他社との比較や差別化戦略、新規参入状況、経営陣の事業スキルがあげられる。ただし、ポータルサイトなどの事業評価は極めて難しいのも確かである。

4.ハイリスクな資金調達・M&A
第3者割当増資、MSCB、株式分割などを駆使しつつ、株価を吊り上げてそれを元手にM&Aという手法が主流。明らかにキャパシティを超える資金調達やアライアンスは、やはりリスキーと見るべきである。増資や企業買収の明確な目的、M&Aスキームのチェック、相手方の戦略と実態も把握する。香港やタックスへブンを利用して海外の投資家と見せかけているケースもあるので要注意。また通常、ITから金融業への参入は、有利子負債などの財務リスクが一気に膨れ上がるものである。

5.株価の乱高下
実体を伴わない株価の暴騰、乱高下には要注意。株価の動き、出来高のチェックが肝要となる。信用不安の払拭や株価対策、または悪筋が絡んだ増資や株主移動、架空の新規事業、株価操作、インサイダー取引などその手口は多様化している。

6.監査法人リスク
突然の監査法人の異動、特定の監査法人への集中は要注意。ライブドアでも監査法人との癒着が指摘されているように、不透明な企業の背後に特定の監査法人の存在が見え隠れするケースは意外に多い。今後は、監査の厳格化による粉飾決算の発覚、突然の債務超過転落といった事態も想定される。

7.コンプライアンス
新興上場企業の最大のリスク。ディスクロージャーに対する姿勢、監督官庁による行政処分、仲間同士の不透明な株の持ち合い、インサイダー取引、訴訟、不祥事・事件化、スキャンダル、さらには上場廃止、監理・整理ポスト入りなどの動きや兆候をルーティンで把握する。


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