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2006年8月7日
ゼロ金利解除が及ぼす影響は


  2006年7月14日、5年4カ月ぶりにゼロ金利が解除され、日銀は短期金利の誘導目標を0.25%に引き上げた。

  産業界では設備、雇用、債務の3つの過剰はほぼ解消され、企業業績も好調を維持、企業倒産も沈静化が続いている。一方、株式市場や不動産セクターでは局地的なバブル現象が起きている。今回の利上げは、産業界にいかなる影響を及ぼすのだろうか。

  大手企業については、過剰債務企業は見当たらないことから影響は限定的。強いて言えば、有利子負債が多く、短期借入比率が高い信販・リースなどのノンバンクセクターが注目されるが、いずれも本業は堅調であり、すでに利上げを織り込んでいることからも急速に金利上昇リスクが顕在化する可能性は小さい。ただ、東京都が出資する東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設、竹芝地域開発の「臨海第3セクター」が、今年5月に約3,800億円の巨額にのぼる負債を抱えて民事再生法を申請した背景に、今後の金利上昇による利払い負担の増加懸念があったように、ゼロ金利解除は過剰債務企業に対する金融機関のビヘイビアを硬化させるトリガーになっていくことは間違いない。

  そのほかでは、グレーゾーン金利の撤廃と上限金利の引き下げが決定的という厳しい立場に追い込まれている消費者金融業界にとっては、利上げによる資金調達コストの増加がダブルパンチとなり、中小クラスの淘汰の引き金の一因になろう。

  不動産業界も、金利上昇によってゆくゆくは大手と中小の二極化が鮮明になり、規模と体力に勝る大手不動産の寡占化が進展していく公算が大きい。都心部の地価高騰による用地仕入れの競争激化と価格競争のあおりを受ける形で、資金力に乏しい新興・中堅のデベロッパーは厳しい状況に追い込まれていく。

 ここ2〜3年で急膨張してきた上場型不動産投資信託(J-REIT)や不動産ファンドへの影響も見逃せない。金利上昇による採算の悪化によって、不動産ファンド市場の失速に拍車がかかる恐れがあるからだ。実際、スタート時こそ6%を超えていたJ-REITの配当利回りも、いまや3%台へと低下。都心一等地の取得価格の高騰、投資物件不足も深刻化してきた。そもそも不動産ファンドは、あくまで低金利を前提として財務レバレッジをかけて投資リターンを引き上げるものであり、その前提が崩れれば元本割れのリスクが発生する。

 金融界では、ゼロ金利解除に伴う長期金利の上昇はメガバンクでは預貸金利の利ざや拡大効果が大きいものの、大量の国債を保有している地域金融機関にとっては新たな地雷源となる。さらに、地域金融機関の再編、不良債権処理はいまだ道半ばであり、利上げによって融資の信用リスクも増加するだけに、今後の地場企業、中小零細企業への影響が懸念される。


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