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2006年9月7日
【 熾烈な覇権争いに突入する携帯電話業界 】


  携帯電話の番号ポータビリティー制度(番号継続)のスタートが10月24日に決まった。民間調査会社のMM総研によると、ポータビリティー制度を契機として変更を希望しているユーザーは約1割に達している。そこで、各社とも10月に向けて携帯端末の新機種を大量投入、価格やサービスを駆使した顧客獲得競争は一段と激化する。

  台風の目は、1兆7,500億円という前代未聞の英ボーダフォン日本法人買収に踏み切ったソフトバンクの動向。今年7月末のシェア(PHSを除く)は、先行するNTTドコモの56%、KDDI(au)の28%に比べて、ソフトバンクモバイル(10月にボーダフォンから社名変更)はわずか16%に過ぎない。果たして、番号ポータビリティー制度がスタートするまでにソフトバンクモバイルが戦略的な機能、料金プランを打ち出せるのかが、当面の焦点となる。

  今回のボーダフォンの買収資金は、買収先企業の資産や将来利益を担保に資金を借り入れるLBO(レバレッジド・バイアウト)方式によって、ソフトバンクモバイル自身が約1兆3,000億円を調達している。そのため、「ソフトバンクモバイルが稼ぐキャッシュで多額の借入金を返済しなければならないことから、携帯電話料金の極端な値下げは難しい」(金融関係者)ことは、ソフトバンクにとっては大きな痛手であり、ヤフーなどでみせた同社の最大の武器といえる「激安商法」が、今回に限っては通用しないことになる。もちろん、単なる安売りではなく、「たとえば、高付加価値の新端末を無料配布して、契約後の斬新なサービスによる顧客囲い込み策で利益を上げていく戦略も予想される」(業界関係者)という。

  一方で、携帯電話事業参入によるソフトバンクの経営の行方も注目される。英ボーダフォン日本法人の買収によって、同社の連結ベースの有利子負債は8,507億円から一気に2兆円を超え、株主資本比率も1ケタ台と財務体質は著しく悪化する。加えて、ボーダフォンが大きく遅れをとっていた第3世代向け基地局整備費や端末開発費の投資規模は膨大であり、今期だけでも4,000億円規模の巨額投資を強いられる。

  番号ポータビリティー制度による各社の形勢についてだが、「豊富な音楽サービスに強みを持つau有利、ドコモ横ばい、ソフトバンクモバイル苦戦」と予想する向きもある。しかし、ソフトバンクが価格競争に踏み切らなければ、「値下げ競争は先送りされ、当面はシェアにも大きな変化はないのでは」(通信業界関係者)との見方もある。

 いずれにしても、ソフトバンクモバイルのユーザーが他社へ流出、シェアがさらに低下するような事態になれば、10〜12月の第3四半期にも最初の正念場を迎えることになる。そうなれば、ソフトバンク主導で値下げ競争の火ぶたが切られる可能性もあり、携帯電話業界の覇権争いは一気に過熱する。


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