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2006年11月7日
【 安倍新政権の経済政策の行方 】


  安倍新政権がスタートした。新政権の経済政策については、小泉政権発足時の「危機モード」から、現在は「平時モード」へと移行しているだけに、さしあたって大きな変化はなく、経済マターにおける大きなポジティブ・サプライズもないと見る向きが多い。

  最大のテーマは、「成長重視」であり、財政再建のための高い経済成長や景気拡大による税収の増加、いわゆる「上げ潮政策」が柱となる。名目GDPの成長率を4〜5%に設定、2009年度にも予定されている消費税のアップ率も最小限にとどめようというわけである。

  企業の国際競争力の強化策も目玉の1つであり、そのためのIT、バイオ分野の政策減税、企業の能力開発などへの投資の優遇措置などを推し進めることになろう。

  高成長路線のためには、景気維持、金融緩和が大前提となることから、再利上げは少なくても年度内は先送りされそうだ。これまでの株、土地などの局地的な資産バブルは継続され、過剰流動性が主流であることに変わりはない。

 たしかに新政権は、「再チャレンジ」、「セーフティネットの充実」を掲げてはいるものの、これらは本来、経済政策ではなく社会政策の色彩が濃いものである。結局は、高度成長を牽引する一部の勝ち組が優先される面は否めず、企業間格差の拡大は避けられないだろう。

 その結果、市場メカニズムに沿う形でレッドカードを突き付けられる企業が出てくることは間違いない。公共事業拡大へのシフトも、財政再建という事情からして自ずと限界があるだけに、中小零細の建設業者はさらに厳しい立場に追い込まれそうだ。

 また、企業のレピュテーション(風評)リスクも増大する公算が大きい。小泉政権下では、市場の監視強化や透明性の確保に力点を置き、公正取引委員会の権限強化や証券等監視委員会(SEC)の人員増強も図られた。東京地検特捜部では、西武・コクドの有価証券虚偽記載、UFJ銀行(当時)の検査忌避、カネボウの粉飾、橋梁談合など、ここ2〜3年は企業犯罪に焦点を当ててきた。さらに政府は、TOB(株式公開買い付け)やファンドの規制強化、投資家保護のための「金融商品取引法」を成立させている。

 こうした透明性を伴った競争力のある経済システムの構築は、安倍政権も小泉政権の方針を継承、金融・捜査当局の動きにも拍車がかかるとみられる。粉飾、談合、脱税、背任・横領、インサイダー取引などの証券取引法違反、商法違反、行政処分の摘発ラッシュも予想される。

 コンプライアンス(法令順守)に対する姿勢が重要視される風潮が強まってきたことで、一般取引先や金融機関のスタンスも厳しくなっているだけに、今後はコンプライアンス絡みの倒産は増勢傾向をたどる可能性が大きい。


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