トピックス
2006年12月6日
「脱・談合」が促す中小建設業者の淘汰と
地方経済の地盤沈下


  公共工事に絡む談合汚職の相次ぐ摘発が、建設業界を震撼させている。昨年来、当時の日本道路公団の橋梁談合、防衛施設庁談合と続き、この秋口からは福島、和歌山、名古屋、宮崎と立て続けに談合事件が発覚、未曾有の摘発ラッシュの様相を見せている。

  こうした背景には、今年1月の改正独占禁止法の施行がある。談合の罰則金増額、指名停止処分の強化とともに、「これまでは東京高検に限定されていた独占禁止法違反事案が、全国の地方検察庁でも起訴が可能になった」(司法関係者)ことが、摘発ラッシュにつながっているようだ。

  こうして、「脱・談合」が加速することで、公共工事の落札率が急落、ゼネコンの利益低下を招くことは間違いない。実際、従来は限りなく100%に近かったゼネコンの落札価格は、50%を割り込むケースも出ているという。

  これを受けて、鹿島、大成建設のスーパーゼネコンはつい先日、公共工事の比率の高い土木工事の今期の国内受注見通しをそれぞれ200億円、300億円の引き下げを余儀なくされている。体力のある大手クラスはまだしも、中堅、地場ゼネコンは厳しい立場に追い込まれ、中小零細建設業者に至っては死活問題に発展するのは避けられない。

 ゼネコン業界は債権放棄などの金融支援によって各社の過剰債務は解消、もはや大型倒産ラッシュは想定できない。とはいえ、公共事業が縮小し続けているにもかかわらず、実は全国の許可業者数は2005年度で54万2,000と、ピークからわずか1割しか減少していないのである。その結果、いまだオーバープレーヤー状態から脱却できず、無意味な消耗戦が続いているのが実状なのだ。

 こうした消耗戦はスーパーゼネコンの1人勝ちにつながり、中堅・中小ゼネコンとの格差は拡大する一方だ。ちなみに、大手50社のうちスーパー4社のシェアはいまや5割程度まで上昇しているという。このところ、上場ゼネコンの倒産は落ち着きを見せているが、このままでは今後、もう一段の業界再編の波がやってくることは間違いないだろう。

 ここにきて、中堅ゼネコンの支払サイト延長や現金から手形への変更などの動きが目に付くのも、公共工事の利益低下や民間の競争激化から、極力資金繰りに余裕を持たせたいという事情とは無縁ではあるまい。

 当面は、倒産件数の約3割を占める建設業において、今回の脱・談合の加速によって弾き飛ばされる地方の中小建設業者の続出が懸念される。2006年に入ってからの建設業者の倒産(法的整理)は、10月までに2,162件とすでに昨年1年間の件数を上回っており、特に10月は242件と今年最多を記録、地場中堅クラスの倒産が頻発している。

 いずれにしても、競争から脱落する川下である中小建設業者の続出は不可避であり、結局は建設業が基盤である地域経済に大きなダメージを与えることになりそうだ。


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