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2007年1月12日
増加傾向へ向かう2007年の企業倒産


  2006年の倒産動向は、大型倒産の沈静化が続く一方で、中小零細企業、地方企業に倒産が集中する構図がより鮮明となり、大手企業と中小企業、中央と地方の二極化構造が加速した1年だった。

  さて、2007年の見通しだが、当面は現在の緩やかな倒産件数の増加基調をたどりつつも、総体としては落ち着いた状況が続くとみられる。これは大手銀行の債権放棄や産業再生機構などによる過剰債務圧縮策が、問題企業を事実上の解体や身売りなど踏み込んだ処理を進めたことで、大型破綻ラッシュや個別企業の去就が銀行問題に直結するリスクを解消させたためだ。さらに、金融機関はじめ、整理回収機構(RCC)、再生ファンドによる再生支援が定着、中堅企業、地方企業へと波及していることも、倒産リスクの縮小要因になっている。

  とはいえ、懸念材料は決して少なくはない。大手企業と中小企業、中央と地方などの二極化も依然として是正されてはいない。実際、地域金融機関が債権のオフバランス化や貸倒引当金の積み増しに踏み切った結果、倒産に至るケースが地方で頻発している。

  今後は、成熟市場であるにもかかわらず、いまだオーバープレーヤー状態が解消されていない建設、小売・卸、サービス、アパレル、印刷業あたりが、淘汰のターゲットになる公算が大きい。なかでも、「脱談合」を引き金として倒産、廃業に追い込まれる中小建設業者の続出は不可避であり、建材、内装、リフォームなどの関連業種も巻き込みながら、地方を中心に淘汰が急速に進むことになりそうだ

 原油などの資源価格上昇の影響も中堅・中小の体力をジワジワと蝕み、都市部を中心とした「好況型倒産」や不祥事、事件絡みの「コンプライアンス違反関連倒産」の行方、信金・信組を含めた地域金融機関の再編の影響も見逃せない。

 そのほかでも、金融庁の信金・信組への集中検査を引き金とした中小零細企業に対する融資打ち切りの影響や、これまで中小企業のセーフティネットの役割を担っていた政府系金融機関の統廃合なども淘汰の要因となる。

 また、グレーゾーン金利の撤廃や上限金利引き下げによって今後、消費者金融、事業者向け金融からの資金パイプが先細りすることも、中小零細企業にとってはボディブローの如く効いてくる。ここにきて、個人経営の破綻が目立つようになっているのも気にかかる。

 再生ファンドなどに救済されたものの、蘇生には程遠い企業も散見され始めた。言うまでもなく、再生企業の危機再燃やスポンサー撤退の動きは複数の企業で取り沙汰されており、結果として銀行の追加的な支援、大幅な事業縮小、取引先の切り捨てといったさらなる混乱を招く。

 金融機関の立ち直りや事業環境の好転などを背景に、私的整理ガイドライン、債権放棄、減資、RCCなどのスキームを駆使しつつ再建を進める手法が中堅、地場クラスへと波及しているが、本業そのものが疲弊、信用収縮に歯止めがかからない企業のなかには、法的整理に踏み切らざるを得ないところも出てこよう。

 このように、新たな懸念材料が山積し、水面下では倒産予備軍はいまだ数多く点在、業績急進企業の危うさも含めて信用リスク、信用収縮は決して解消されてはいないのである。

 何よりもバブル崩壊後、長らく不良債権問題の抜本処理の先送りを続けてきたことで、市場メカニズムばかりでなく、本来であればレッドカードによって退場すべき企業を延命させてきたことで、「倒産メカニズム」をも麻痺させてきたことを忘れてはならない。その結果、極度の信用収縮による企業間取引の停滞を招き、企業の新陳代謝を鈍化させ、経済活動そのもののエネルギーを喪失させてきたことは間違いなく、その後遺症はいまだ癒えてはいない。

 今後は、金融機能の正常化や金利上昇など、ようやく市場メカニズムが働くようになることで、地方、中小零細企業を中心として、倒産はこれまでの増加基調が加速される公算が大きい。一時のような倒産ラッシュや金融システミックリスクの再燃は想定できないものの、依然として不透明要素は蔓延している。


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