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2007年7月5日
     【 多くの課題を抱える地域力再生機構


 経済財政諮問会議は「骨太の方針」のなかで、地域経済の活性化のための「地域力再生機構」の創設を盛り込んだ。経営不振に陥った地方の中堅・中小企業の再生をバックアップするもので、いわば2007年3月に解散した産業再生機構の「地方版」である。資本金は500億円で、設置期間は5年、2008年4月の発足を予定している。預金保険機構などが出資する株式会社の形態をとるという。確かに大都市圏と地方圏の格差は拡大の一途をたどっており、なかでも地方企業の再生は喫緊の課題である。

  ところが一方で、今回の地域力再生機構についてはいくつかの問題点も指摘されている。

  まずは、民業圧迫への懸念。事業再生については、ここ数年で民間のファンドが積極的に進出、それなりの成果を上げている。そうしたところへの官主導による再生組織の参入は、民業圧迫につながる恐れがある。地域金融機関の再編・淘汰が最終局面を迎えていることも、混乱を増幅しかねない。

  そこで当面は、「民間が手がけにくい第三セクターの処理がターゲットになる」(永田町関係者)との見方が有力だ。というのも、3割以上が赤字に陥っている第3セクターの問題は、地方自治体の財政健全化にとって大きな足かせになっており、その処理は急務になっているからだ。第三セクターのなかには、自治体が金融機関に対して実質的な保証を行っているケースもあり、日本政策投資銀行などの政府系金融機関の融資残高も多いことから、なかなか抜本処理に踏み切れないというジレンマにある。それだけに、官主導の機構が果たす役割に期待する向きもあるが、その手腕は未知数であることも確かだ。

 また、都道府県単位で設置されている中小企業再生支援協議会との棲み分けも課題となる。地域力再生機構は年商20億円以上の中堅企業、中小企業再生支援協議会はそれ以外の中小企業を対象とする方針を持っているようだが、果たして明確な選別と再生作業が可能なのかという疑問もある。

 さらに、産業再生機構でも指摘された対象企業の絞り込みや再生手続きの不透明さも拭えない。たとえば、地元の政治家や地元有力者の介入によって、市場原理や公平性が損なわれる危惧がある。特に地方企業が中心となるだけに、国民全体の目が行き届かないことで、再生不可能な企業の抜本処理の先送りや無意味な延命という事態も想定される。言うまでもなく、再生に失敗もしくは債権を高値で買い取ることで機構に損失が出れば、結局は国民負担になる。

 いずれにしても、民業圧迫の歯止め策、透明性の確保、さらには企業選定や再生スキームの明確なガイドラインづくりが、今回の地域力再生機構の命運を握っている。



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