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2007年8月6日
     【 強化される改正独占禁止法の波紋


 独占禁止法の見直しを検討してきた「独占禁止法基本問題懇談会」が、違反行為への罰則強化を盛り込んだ報告書をまとめたが、これに対して建設業界のみならず、流通業界などの他業界で大きな物議をかもしている。

  課徴金の引き上げや自己申告に対する減免制度を主体とした現行の改正独禁法は、2006年1月に施行された。それによって、国土交通省や旧首都高速道路公団、地方自治体などの官製談合の摘発が相次ぎ、それなりの成果を上げている。しかし、いまだ談合の根絶には至らず、さらには不当な値引き要請や強引な大手の寡占化に苦しむ中小企業や取引企業は広範囲に及ぶ。今後は、この提言を受けて政府・自民党が独禁法基本問題懇談会と議論を重ねて改正法案を作成、2008年1月の通常国会での提出を予定しているという。

  今回の報告書の最大のポイントは、違反行為に対する課徴金の再引き上げとともに、これまで課徴金はゼネコンの入札談合やカルテルなどに限定されていたものを、市場競争を制限する「排除型私的独占」にまで広げるところにある。

  「排除型私的独占」とは、仕入れ原価を大きく割り込むような価格で継続的に販売する「不当廉売」や取引相手によって不当に価格を差別したり、競合地域のみで不当なダンピングによって公正な競争を妨げる「差別対価」などを指す。さらに公正取引委員会は、押し付け販売や従業員の派遣などの「優越的地位の乱用」、誇大広告などの「不当表示」も課税対象として検討するという。

 この改正案によって課税の対象範囲は大幅に拡大、それに伴って建設業界だけにとどまらず、流通業などもターゲットになってくる。たしかに、現場からはスーパーや食品メーカー、家電量販店などで、不当廉価や優越的地位の乱用に関する苦情が多いようだ。

 今後の見通しだが、不当廉売の取り締まり強化については、「中小企業対策も含めて改正法案に盛り込まれる可能性は高い」(財界関係者)という。一方で、競争制限の定義や課徴金の算定基準が曖昧であることや、経済界が反発している刑事罰と課徴金の併科の是非も難航が予想されるなど、課題も残っている。

 もちろん、こうした独禁法の強化は世界的な潮流でもあり、業界の新たな枠組みの構築、透明性の確保のためには当然のことではある。ただ、その流れのなかで、直接、間接的にダメージを受けた結果、身売りや倒産に追い込まれる中堅・中小企業が表面化する懸念は拭えない。昨年来、談合による指名停止処分や課徴金の負担によって破綻する中小建設会社が相次いでおり、今回の独禁法改正は、関連業界にとって淘汰のさらなる加速要因になりそうだ。



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