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2007年11月6日
 【 金融商品取引法で窮地に追い込まれる
                      不動産ファンド


 9月30日、金融商品取引法が施行された。新法は、従来の証券取引法や投資信託法など商品によって縦割りになっていた法律を一本化したもの。最大の目玉は、銀行や証券、保険にかかわらず、金融商品に共通した新ルールが適用されることである。そのほかでも、企業決算の四半期報告制度が導入され、内部統制の厳格化やインサイダー取引の罰則強化、ファンドの監視強化、さらには株式公開買い付け(TOB)などの整備も行われた

  そのなかで、注目されるのが「ファンド規制」である。投資ファンドは、これまで法規制の死角になっていたことで、犯罪行為の温床になっているとの指摘があった。ライブドア事件や村上ファンドのインサイダー事件のほか、平成電電事件では高利回りを謳ったファンドで多額の資金を集めた末に経営破綻、被害者が続出している。さらに、「投資ファンドには、アングラマネーも流れ込み、脱税の舞台にもなっている」(メガバンク幹部)ことからして、ファンドの規制は当然の流れではある。

  そして、今回のファンド規制の影響をモロに受けるのが、不動産業界である。都心部の一角を舞台にした"不動産バブル"が続いているが、その主役はいうまでもなく、上場型不動産投資信託(J-REIT)や不動産ファンド。世界的なカネ余りで行き場を失った投資マネーが、不動産ファンドを媒介として超低金利が続く日本市場へ流れ込み、地価を押し上げるという構図である。なかでも、高利回りの「私募型不動産ファンド」の運用資産残高は、8兆円規模にまで膨れ上がっている。

  そうした状況のなか、今回の金融商品取引法による不動産ファンドへの締め付け強化のダメージは大きい。金融庁の立ち入り検査によって行政処分ラッシュとなれば、それこそファンド暴落の引き金をひきかねない。さらに、ファンドの実態を把握するために「出資者リスト」の提出を求められることも想定されるが、「ファンドの匿名性がなくなれば、資金は一斉に逃げ出す」(大手不動産ファンド幹部)ことになる。

  それでなくても、ここにきて地価の急騰、物件不足によってファンドの利回りが低下、投資利回りから長期金利を差し引いたイールドスプレッドも低下傾向を示し始めている。急成長してきたJ-REITの二極化も急速に進んでいる。これに、サブプライムローン問題に端を発した信用収縮による海外資金の引き揚げが追い打ちをかける。

  今後は、体力に乏しい中小ファンドの淘汰は必至であり、一部では「不動産ファンド運用会社は、ゆくゆくは半減する」(業界関係者)との見方もあるほどだ。いずれにしても、金融商品取引法の施行を契機にファンドの身売り、大型物件の売却ラッシュが表面化、再編・淘汰が急速に進んでいくことは間違いない。それに伴う地価の動向、不動産業界全体への影響にも目が離せない。



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