トピックス
2007年12月5日
         【 「消費者保護行政」の功


 政府・経済産業省が、モノやサービスの契約・取引に関して「消費者保護策」を相次いで打ち出している。6月には罰則を強化した改正消費者契約法が施行され、2008年1月の通常国会では割賦販売法、特定商取引法の改正案の提出も予定されている。

  背景には、違法行為、欠陥製品問題が続出、被害が後を絶たない実態がある。さらに、注目されるのが「国民生活センターに寄せられた相談・苦情が、所轄官庁の経済産業省へスムーズに上がるようになった」(経済産業省関係者)ことである。実は、これまで国民生活センターと経済産業省との連携は必ずしも密ではなかった。ところが、政府が「消費者保護」を前面に打ち出して本腰を入れ始めたことが大きな転機になる。実際、特定商取引法に基づく処分件数は、2000年度にはわずか4件だったものが2006年度は84件と急増、今年度は100件を超えるのは確実だという。

  こうした行政の方針転換によって両者は急接近、その成果の第1弾が、誇大広告や契約時の虚偽説明で業務停止命令を下された英会話学校大手のNOVAである。今年度をメドに、全国の消費者情報を蓄積した国民生活センターのデータベース「PIO―NET」の共有化も実施されるという。そうなれば、悪徳業者の早期発見とともに厳しい処分ラッシュが予想される。

  問題は、法改正に伴う行政処分の影響、特に業界の過剰反応による負の連鎖である。もちろん、こうした法改正は消費者保護や業界の新たな枠組みの構築、そして反社会的勢力の排除のためには、当然の流れではある。マルチ商法や電話勧誘、連鎖販売では多くの高齢者が被害に巻き込まれていることも確かである。

  とはいえ、運用の弾力性に欠いたり、改正法の明確なルールやセーフティネット、さらには新たな需要創造策が提示されないまま、これだけの荒療治が断行されれば、結局は個人、中小零細企業、地方といった弱者にそのしわ寄せが及ぶことになる。個人消費の冷え込みにも拍車をかけ、関連業界の地盤沈下を招くことも見逃せない。

  特定商取引法を契機とした英会話学校やエステティックサロン、宝石・貴金属、呉服、結婚情報サービスなどのユーザーに対する信販・クレジットの絞り込みは想像以上のものがあり、関連業者は瀬戸際に立たされている。なかには、過剰反応とも見られる姿勢が行き過ぎた信用収縮を招き、レピュテーションリスクも相まって中小クラスが身売りや倒産に追い込まれる懸念は拭えない。

 国土交通省の改正建築基準法では、建築確認審査の長期化によって住宅着工戸数が激減、その影響はマンションデベロッパー、ゼネコンにまで及び、改正貸金業法も中小零細企業の資金繰りへダメージを与えるなど、法改正に端を発する「行政不況」との悲鳴も聞こえ始めた。ただでさえ、多くの中小企業は青息吐息であることからも致命傷になりかねない。


このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.