トピックス
2008年1月10日
         【 2008年の企業倒産を占う


 企業倒産は2007年5月に1,016件と月次ベースで1,000件を突破、11月まで14カ月連続で前年同月を上回るという増加基調が続いている。負債総額は小型化がさらに顕著となり、負債1億円未満の倒産が全体の6割近くに達し、「件数増加、負債減少」の流れが加速している。大型倒産こそ沈静化しているものの、地方を中心に零細規模の倒産が多発。多くの中小零細企業は販売不振や競争激化の荒波にさらされ、急速な円高による中小製造業の収益圧迫、人件費の上昇という新たな重荷も抱え込んでいる。

  そうしたなか、監督官庁による矢継ぎ早の法改正が新たな経営リスクとして浮上してきた。たとえば、経済産業省の特定商取引法や金融庁の改正貸金業法成立と金融商品取引法の施行。一方で、改正独禁法によるゼネコン淘汰が進み、警察庁の改正風営法によってパチンコホール業界が窮地に追い込まれている。こうした法改正は、業界の新たな枠組みの構築や消費者保護のためにはやむを得ない面はある。しかし、規制強化によって事業継続を断念するケースが表面化していることも確かである。また、粉飾や談合、法令違反の発覚を引き金として、中小クラスが倒産に追い込まれる「コンプライアンス違反倒産」が急増、さらにレピュテーションリスク(風評被害)によって、身売りや倒産に追い込まれることも想定される。なかでも、建設業者の淘汰を促す「改正独禁法」「改正建築基準法」、中小零細企業の資金繰り悪化を招く「改正貸金業法」のダメージは大きい。

  いうまでもなく、建設業界は公共事業の縮小、供給過剰、建材価格の高騰、これに脱・談合による利益率の大幅な低下の追い打ちで瀕死の状態にある。今回の改正建築基準法による着工のズレ込みは、たとえ一過性であっても、ただでさえ青息吐息にある多くの中小建築業者にとっては命取りになる。実際、すでに建築確認遅れのあおりを受けた関連倒産が顕在化している。国や自治体が資金繰り対策に乗り出してはいるが、一時的に資金繰りがついたとしても着工件数そのものの落ち込みなど構造的な問題が深化し続けているのだから、厳しいことに変わりはない。今回の影響が倒産という形でどこまで波及していくのか、懸念がつのる。

  グレーゾーン金利の撤廃、上限金利の引き下げを骨子とした改正貸金業法の成立も、突発的な資金需要や短期のつなぎ資金を消費者金融、事業者向け金融に依存してきた多くの中小零細企業にとっては死活問題に直結する。。

  それでなくても、建設、卸・小売、サービスなど内需型の中小零細企業は、市場の縮小、解消されないオーバープレイヤー状態、大手の寡占化という逆風を受け、新たな倒産リスクも積み上がり続けている。2007年10月にスタートした信用保証協会の保証料率の2割削減、いわゆる「責任共有制度」。この施行によって、貸し倒れリスクを抱える中小金融機関の融資スタンスは否応なしにシビアさを増す。今後の地域金融機関の最終淘汰に端を発した地場企業への信用収縮の再燃も懸念される。原油・原料価格の高騰が体力をジワジワと蝕み、ビジネスモデルの崩壊によるベンチャー企業の挫折も目立ってきた。

 都心超一等地の異常ともいえる地価高騰による仕入れ価格の上昇やマンション販売の減速による首都圏のデベロッパー、建売関連業者の行方も焦点となる。なかでも郊外での物件供給が多い中小デベロッパーでは、借入金が急増する一方で在庫が積み上がり始めており、今後の資金繰りが気にかかる。

 さらに、「警察、金融当局が、金融機関に対して反社会的勢力の絡んだ案件、コンプライアンスに抵触した企業に対する融資を締め付けている」(メガバンク幹部)ことも、金融機関の信用収縮を招いている。その結果、短期借入金の借り換え拒否や追加融資に二の足を踏むところが目立ち始めている。

 中小零細を中心として倒産予備軍はいまだ数多く点在、大手企業と中小企業、中央と地方などの二極化構造は依然として是正されてはいない。2007年の年間倒産件数は1万1,000件前後の見込みだが、2008年は「中小零細企業」「地方企業」「内需型」をキーワードに、昨年を上回るペースで推移していく公算が大きい。


このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.