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2008年2月5日
再編道半ばの百貨店業界

 大丸―松坂屋(J・フロントリテイリング)、阪急百貨店―阪神百貨店(エイチ・ツー・オーリテイリング)に続く伊勢丹―三越の経営統合発表―――2007年来、百貨店業界は未曾有の再編ラッシュに沸いている。

 なかでも衝撃的だったのは、何といっても伊勢丹―三越。2008年4月に発足する三越伊勢丹ホールディングスは売上高1兆5,859億円、2007年9月に誕生した J・フロントリテイリング(大丸―松坂屋)を抜いてトップに躍り出る。老舗の三越と日の出の勢いの伊勢丹、それも東京・新宿では真向かいで長年競り合ってきた因縁のライバルだっただけに、少し前ならば到底考えられない組み合わせである。かつての王者・三越でさえ、事実上救済色の濃い合併に踏み切らざるを得なかったことこそ、いまの百貨店業界が置かれている状況を如実に物語っている。

 百貨店の生き残りのキーワードは、「地域一番店の獲得」と「富裕層の取り込み」に集約される。というのも、「国内外の一流ブランドは地域一番店に集中し、利益を上げるためには単価の高い富裕層、団塊の世代をいかに取り込むかが勝負」(大手百貨店幹部)になるからだ。確かに、勝ち組といわれる伊勢丹は地元・新宿でトップであるばかりでなく、渋谷の東急百貨店と業務提携、札幌では丸井今井、福岡では岩田屋と、それぞれ地域トップを傘下に収めている。

 大型再編が続いている百貨店業界だが、今後の展開はどうなるのだろうか。まずは、「伊勢丹は、2007年6月に東急百貨店との業務提携を決め、松屋の大株主でもあることからさらなる大連合も予想される」(業界紙記者)という。一方で、松屋の大株主でもある東武鉄道の子会社、東武百貨店の動きも焦点になる。大丸が東武百貨店にアプローチした経緯もあることで、松屋と東武百貨店が大丸―松坂屋に加わるシナリオも囁かれ、「小田急百貨店、東急百貨店など電鉄系を含めた大連携もあり得る」(金融関係者)。

 一方で注目されているのが、エイチ・ツー・オーリテイリング (阪急百貨店―阪神百貨店)。伊勢丹は阪急百貨店と業務提携関係にあり、エイチ・ツー・オーリテイリングも規模で見劣りするだけに、まんざら絵空事ともいえない。そうなれば、伊勢丹は東京と大阪を支配下に収めることになり、売上高2兆円規模の一大グループが誕生する。

 イオン、セブン&アイのスーパー2強も台風の目だ。コンビニと百貨店強化が急務のイオンは、セブン&アイへの対抗意識も相まって一時は三越買収の噂もあったほどで、イオンが今後どのような戦略をとってくるのか。

 トップから業界3位に転落するも、これまでのように独自路線を貫くとばかりいってはいられない。そこで、「がそごうと西武百貨店を吸収、2兆円グループを形成するのではないか」、「伊勢丹―三越がミレニアムを取りにくる」との観測もあり、まさに「何でもあり」の様相をみせている。それほど百貨店業界の大再編は待ったなしにあるのだ。

 それから、今後の流通業界の行方を占ううえで見逃せないのが、JR東日本の存在。なにせ多くの超一等地の駅ビルを抱え、急成長の「駅ナカ」ビジネスの主役でもある。JR東日本の主要小売子会社の年間売上高は、いまや三越、を上回って1兆円を超える。さらに、キオスク、カードなどを含めると1兆5,000億円を超え、わが国の流通4位という、隠れた巨大流通グループを形成しているのだ。人口減少による鉄道事業の頭打ちの一方で、駅ビルビジネスの価値が高まるなか、巨大資本を持つJR東日本による百貨店、人気ブランドショップの誘致や電子マネー「Suica」などの流通ビジネスの行方にも目が離せない。


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