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2008年5月7日
都心超一等地の不動産市場に変調の兆し

 首都圏の不動産市場に変調の兆しが見えてきた。地価高騰のペースに実需が追いつかなくなってきたことに加えて、牽引役を果たしてきた外資マネーが米サブプライム問題によって急減速していることがその引き金となった。さらに、金融商品取引法施行に伴うファンド規制、銀行の不動産向け融資の縮小も見逃すことはできない。不動産ファンド間で高値売却を繰り返すというマネーゲーム的な要素も内包していた今回の局地的な地価高騰の構図が、いよいよ崩れ去ろうとしているわけだ。

 外資マネーの引き揚げと金融引き締めの結果、保有物件の不動産ファンドへの高値売却が困難になり、不動産ファンド自体も急速に資金繰りがタイトになっている。また、多くのデベロッパーが抱える不動産のSPC(特別目的会社)の処理も、融資が付かないことでなかなか進まない。資金繰りに詰まって手持ち物件を売ろうにも「売り物件が溢れていることで、3〜4割のダンピングをしても売れない」(中堅不動産ファンド)のが実状だ。

 そうなれば、超一等地の地価の下落は避けられない。デベロッパーによる物件売却とともに予想される不動産ファンドの解散ラッシュは、保有物件を売却して資金を投資家に償還、つまりは不動産が売られることを意味する。今後、大量の投げ売り物件が出れば、需給は緩み、価格下落にさらなる拍車をかける。

 こうした市場の減速に加えて、銀行の不動産向け融資の引き締めの煽りを受けて、首都圏のマンションデベロッパーの風向きは明らかに変わってきた。すでに神奈川では中堅のグレイス(負債約60億円)、新興デベロッパーのアジャクス(同128億4,000万円)、東洋ホーム(同94億円)が立て続けに自己破産に追い込まれ、埼玉でも「つくばエクスプレス」沿線の開発・分譲で急成長を遂げていた第一住創が、約82億円の負債を抱えて民事再生法の申請を余儀なくされている。首都圏のデベロッパーでは、地価高騰による仕入れ価格の上昇、それに伴う借入金の急増が著しい。そうしたなかで首都圏のマンション販売は大きく減速、これに建築コストの上昇、改正建築基準法による工期遅れがダメを押す。年商100億円クラスを中心に、支払いの遅延など資金繰りを巡る信用不安情報が頻発。積み上がった在庫物件のダンピング販売が、地価の下落をもたらす悪循環も始まっている。そうなれば、驚異的な業績の拡大をみせている企業、あるいは黒字の企業であっても、一気に資金が回らなくなる。

 もちろん、大手や上場クラスとて例外ではない。2月に民事再生法を申請した不動産ファンドのレイコフ(ヘラクレス上場)は、物件の売却がままならず、借入金の金利負担も増大。金融機関からの資金調達も不調に終わったことがその引き金をひいた。ここにきて上場デベロッパーの大幅な業績の下方修正が相次いでおり、今後は業績の急減速や大幅な事業縮小、身売りなどもあり得ないことではない


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