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2008年7月3日
いよいよ正念場を迎える新興不動産

 首都圏を舞台とした不動産バブルの変調が続いている。背景には、サブプライムローン問題によって2007年秋以降、不動産・ファンドの有力な買い手だった外資マネーが止まったことがある。さらに、国内の金融機関も不動産セクターへの融資を急速に絞り込んだ。そもそも、数年前から邦銀の不動産向けの融資比率はバブル期を上回っていただけに、警戒感から銀行が融資スタンスを引き締めるのも当然のことだった。

 さらに、反社会的勢力の排除を大義名分とした警察、金融当局の連携強化による不動産融資の締め付け、金融商品取引法の施行に伴う不動産ファンド規制も追い打ちをかけた。もちろん、局地的な地価高騰の反動や昨年来のマンション販売の減速もあった。

 その結果、外資系金融機関や邦銀は新規融資や借り換えをストップ、多くの不動産業者はカネ詰まりに陥ったわけだ。とくに外資マネー引き揚げの影響が最も大きかったのが、私募不動産ファンド運用会社やファンドへの転売で稼いできた新興デベロッパーである。

 この業界は、過剰債務のセクターでもあるだけに、金融の締め付けはターゲットにされた不動産業者の資金繰りを直撃する。なかでも、首都圏を舞台とした”ミニバブル”を追い風に倍々ゲームに業績を伸ばす一方で、金融債務が急膨張している新興不動産への風当たりは強い。積み上がった在庫物件のダンピング販売やファンドの保有物件を売却が、地価の下落をもたらす悪循環にも歯止めがかからず、都心の超一等地の不動産市場が急速に萎み始めている。

 それでは、今後の首都圏の不動産市場の見通しはどうか。結論としては「地価の大崩れはない」との見方が大勢を占める。その理由としては、@収益還元法が定着していることで底値が見えやすいAバブル崩壊後とは異なり、銀行の経営が落ち着いているB賃料収入は比較的安定、空室率も低い――ことがあげられる。そして、何よりも日本の超一等地の地価が、ニューヨークやロンドンなどと比べて、いまだに割安感があることだ。さらに、外資のスタンスも「不動産ファイナンスからは撤退したものの、基本的に投資ファンドを媒介としたオンバランスの不動産投資は継続する」(大手外資系証券)という。そうであれば、現在の下落はあくまで調整局面であり、今後も局地的な地価の上昇、下落は循環的に繰り返される公算が大きい。

 但し、新興勢力を中心にプレーヤーが大幅に減ることは間違いないだろう。上場、未上場を問わず、新興の不動産やファンドの多くはすでにビジネスモデルが崩れているだけに、大掛かりな淘汰は避けられない。とりあえずは、2008年9月中間期あたりが正念場になりそうだ。その後は、旧財閥系大手不動産や大手外資というひと握りの勝ち組との2極化がより鮮明となり、物件の2極化も加速することになる。


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