トピックス
2008年11月6日
なりふり構わぬ中小企業救済策も効果は限定的

 米国発の金融危機と実体経済の悪化が、中小零細企業を再び、窮地に追い込んでいる。そのキーパーソンは、中小、地方企業の命綱である地銀・第2地銀・信金・信組といった地域金融機関。多くの地域金融機関は、地域経済の地盤沈下と融資先の業績悪化による資金需要の低迷に直面し、頻発する不動産セクターへの焦げ付きや内需型の倒産増加による与信コストの上昇など悪材料が山積。そうしたところへ今回の金融危機によって、リーマン債の損失とともに株安に伴う保有株式の減損処理と実体経済の急降下が追い打ちをかける。

 そこで政府は、中小企業対策として今年3月に期限切れとなった予防的に地域金融機関に公的資金を注入できる「金融機能強化法」の復活や信用保証枠の拡充を決定。さらに、追加対策として法人税率の時限的な引き下げや欠損金繰り越し還付の復活、時価会計の一部凍結など、なりふり構わぬ信用収縮の封じ込めに踏み込もうとしている。

 たしかに、一連の対策によって中小零細企業の資金繰りは一息つく可能性はある。ところが市場の縮小と解消されないオーバープレイヤー状態による「供給過剰」という中小や地方企業が抱える構造的な問題を見るにつけ、抜本的な改善につながるかは懐疑的といわざるを得ない。

 それでなくても、原材料価格の高騰が最終価格への転嫁力の弱い中小業者の売り上げ、収益の悪化に拍車をかけ、事業者向け金融(商工ローン)や消費者金融という中小業者にとっては”最後の砦”さえも、改正貸金業法の改正によって失っている。すでに、ビジネスモデルの行き詰まりと資金調達環境の悪化がさらなる倒産増加を招くという悪循環に陥っているだけに、信用収縮の負の連鎖を断ち切るのは容易ではない。

 一方の金融機関も、公的資金の注入があったとしてもこれだけ中小企業の体力が疲弊しきっていては、一気に資金供給が円滑になるとは思えない。たしかに、国内のみで営業を展開する地域金融機関は公的資金によって自己資本が厚くなる分だけ貸出金などのリスクアセットの拡大は可能になるが、融資の審査基準が変わらなければ中小零細企業にカネは回らず、多くの金融機関ではいまだにリスクテイク能力も備わってはいないのが実状だ。

 今回の公的資金注入は再編促進を目的から除外してはいるが、「実際、単独で手を挙げるところがどれだけあるのか。やはり再編をセットにした注入が現実的」(金融関係者)との見方が大勢を占め、そうであれば融資先の選別は避けられない。さらに、金融機関は前回のバブルの教訓もあってか、極力エクスポージャーを抑えて、早めに貸出先の債務者区分を引き下げて回収するという融資スタンスが定着している。やはり、公的救済策の効果も残念ながら限定的といわざるを得ない。常軌を逸した株下落、円高も相まって不透明感は増幅し、中小零細、地方企業はさらに厳しい状況に立たされそうだ。


このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.