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2009年2月4日
2009年の企業倒産を占う

 昨年に続いて、2009年も倒産の沈静化、減少を促す自律的な要因は見当たらない。歯止めのかからない内需型産業の地盤沈下にゼネコン、不動産のドミノ倒し、地域金融機関の最終淘汰による地場、中小零細企業への信用収縮。さらには、円高や外需の落ち込みという新たな倒産リスクも積み上がっている。

 倒産ラッシュが続く不動産流動化を主業とする新興デベロッパーも、いまだ最終処理が先送りされている案件は数多く、今年も断続的に破綻が続くとみられる。さらに、昨年末に民事再生法を申請したダイア建設にみられるマンション分譲専業の挫折や、デベロッパーへの焦げ付きが破綻のトリガーに直結するゼネコンへの波及も避けられない。

 上場企業の倒産も、2008年は戦後最悪を記録したとはいえ、その内訳を見るとアーバンコーポレイションや新井組などの建設・不動産とともに、ニイウスコーやアリサカなどの粉飾、不正会計絡みの倒産に集中している。消費不振と国内マーケットの縮小に直面する流通・サービス、新興ベンチャーもビジネスモデルの頓挫と財務リスクの拡大が顕著になり、円高の直撃を受ける中堅メーカーなど、上場の倒産予備軍は枚挙に暇がない。2009年の上場企業倒産は、業種が広がり、社数の増加ペースも加速しそうだ。

 「緊急保証制度」「改正金融機能強化法」など一連の中小企業対策の効果についてだが、保証制度スタート直後の11月には1010件(前月比18.0%減)と倒産件数は減少に転じている。とはいえ、供給過剰と業績悪化が深刻化している中小企業の実態を見るにつけ、やはりその効果は限定的といわざるを得ない。多くの中小企業では本業の行き詰まりと資金調達環境の悪化がさらなる倒産増加を招くという悪循環に陥っているだけに、信用収縮の負の連鎖を断ち切るのは容易ではない。それでなくても、今回の保証融資では融資先を厳しく選別、融資額の縮小にも踏み切るなど、金融機関のスタンスはシビアになっている。

 そもそも、目先の資金繰りはともかく、保証融資によって企業の収益構造が改善するわけではなく、業界環境が好転するわけでもない。実際、1998年の「中小企業金融安定化特別保証制度」では実施後、一時的に倒産件数は減少を見せたものの、半年後には再び増加。2002年の「資金繰り円滑化借換保証制度」「セーフティネット貸付」でもその効果は持続せず、その後、景気拡大期であったにもかかわらず、倒産は2005年春から増加に転じている。

 すでに複数の地域金融機関で資金注入への動きが始まった改正金融機能強化法も、公的資金によって金融機関の自己資本が厚くなる分だけ貸出金などのリスクアセットは拡大するが、融資の審査基準が劇的に変わらなければ中小企業にカネは回らない。なかでも、中小零細に集中している「破綻懸念先」以下のハイリスク先にとっては、融資促進策とはなり得ないと見るべきだ。

 一方で、事業会社への公的資金注入制度の枠組みが打ち出された。2009年度の出資規模は数千億円で政府の補てん枠は1兆5000億円、今春にも導入の方針だ。日本政策投資銀行を主体に民間金融機関を通じて資金支援するもので、救済目的の出資に対して公的な保証をつける仕組み。具体的な業種や規模はこれから詰めることになるが、出資・支援先は、目先の資金調達が困難に陥っているものの技術力を有し成長性が見込める、もしくは雇用吸収力があり、地域経済への影響が大きいところだという。しかし、このスキームでは支援先が破綻した場合、金融機関側が20%―50%の損失を負うことになる。そうであれば、出資に対して金融機関は慎重にならざるを得ない。いずれにしても、今回の公的資金の目的は「再生」ではなく、あくまで「危機回避」であり、支援規模などからみても多くの中堅・中小の救世主とはなり得ず、倒産の抑止力とはならないだろう。

 景気がリセッション局面へ突入、全ての業種が総崩れのなか、倒産は年前半こそ、緊急保証融資によって抑制される可能性もある。しかし、年明けから不動産セクターとともに、JASDAQ上場の半導体関連メーカーのエス・イー・アイや北海道の地場百貨店の丸井今井、宝石貴金属小売の三貴など、メーカーや流通関連の倒産が頻発。総体としては「中小零細」「内需型」「地方企業」にゼネコンや不動産、メーカー、流通などの中・大型倒産が上乗せされる格好で、件数、負債規模ともに増勢傾向を強めながら推移していく公算が大きい。


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