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2009年6月3日
GM破たんの真相

 米ゼネラル・モーターズ(GM)が6月1日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。GMは8月末をめどに新会社への資産譲渡など破産手続きを完了し、新生GMとして再起を図ることになる。米自動車大手3社(ビッグスリー)ではクライスラーに次いでの法的整理となった。

 もともとGMは、T型フォード1車種の大量生産方式によって成長したフォード・モーターから販売台数世界一の座を奪い、昨年トヨタ自動車に譲るまで77年間守り続けた。石油ショックがあった70年代以降、世の中は燃費の良い小型車が主流になっても、クライスラーと同様に大型車にこだわり続けて時流に乗り遅れる。破たんの直接の要因は確かにサブプライムローン問題に端を発した世界同時不況だろう。しかし、本を正せば米国の社会保障制度に行き着く。

 米国にはわが国のような国民皆保険制度や大掛かりな国民年金制度はない。医療保障制度は、高齢者や障害者向けのメディケアと、ごく限られた低所得者向けのメディケイドしかなく、医療保障は大半を企業が負担する。年金もわずかな公的年金のほかは企業年金、しかも確定拠出型である401kプランが中心だ。GMは儲かった50〜60年代にこうした社会保障部分を手厚くした結果、レガシーコスト(負の遺産)が増え、今や年間1兆ドルにまで積み上がった。レガシーコストはGMが1台生産するのに1500ドルにまで達したという。たまたまサブプライムローン問題がきっかけで行き詰まったが、もともとベビーブーマー世代が65歳を迎える2010年には起こるべき問題だったわけだ。

 では自力再建をめざすフォードとの差異は何だったのか。米ボーイングからフォードに転進したムラーリー社長は、就任直後の2006年11月に180億ドルの資金調達を行って手元資金を厚くしたうえで、レガシーコストの削減や債権者と債務の株式化で真っ先に合意した。一方、政府に支援を求めるために昨秋開かれたワシントンでの米議会公聴会に、ワゴナーGM前会長はプライベート・ジェット機で乗りつけて議会の批判を受けた。

 やはり「倒産は人災なり」なのだ。


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