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2009年9月3日
政権交代で何が起きるか

 先の総選挙でついに政権交代が実現した。民主党政権によって経済はどう変わるのか。同党のマニフェストをやや辛口で検証してみたい。

 まず一番の注目は公共事業費の削減がどの程度行われるかだろう。マニフェストでは4年後の公共事業費を1.3兆円削減することになっているが、現在の当初予算7兆円から計算すると、年率5%程度で達成することになる。もともと自民党の骨太方針では年率3%削減を謳っていたので、上乗せは2%程度に過ぎない。ただ、ダムや河川、道路などの土木工事の削減比率が高くなる可能性がある。一方、民主党はリフォームを最重点に位置づけており、建築業者にとってバリアフリーや耐震補強、太陽光パネルなどの省エネルギー改修などは追い風になる。

 次に、「子ども手当て」創設に伴う財源の捻出のために、配偶者控除の全面廃止や所得税の扶養控除の部分廃止を行うことについてだ。専業主婦で子どもがいない場合は収入がわずかだが減ると試算されている。出生率を上げるという大義名分はわかるが、果たして個人消費にどう影響するかは未知数だ。また、最低賃金の全国平均1000円を目指すとあるが、これはむしろパートの首切りにつながる恐れがある。ほかに国家公務員の2割削減も個人消費にマイナスに働きかねない。思い通りに出生率が上がって個人消費が好転するのには時間がかかるであろう。

 企業全体にとってはどうか。中小企業向けの法人税率を18%から11%に引き下げるが、法人企業の赤字率は7割近くに達しており、実際に恩恵を受けるのは3割程度にすぎない。製造現場への派遣の原則禁止は大手メーカーにとってはコスト増につながる恐れがある。民主党が目玉のひとつとした高速道路の段階的無料化が実現すれば物流コストが削減できるが、その分税金の負担が増えるわけで果たして実現の公算は小さいのではないか。

 最大の問題は「国の借金」が860兆円に膨れ上がっていることだ。民主党が打ち出す施策に対する財源が確保されなければ、借金はさらに増える。そうなると、長期金利が上昇して民間投資が抑えられる「クラウディングアウト」が起きる。政権交代への期待が大きいだけに、経済のかじ取りを間違えると民主党の命運は案外短くなる可能性がある。


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