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2009年12月3日
デフレ再燃と対処法

 政府は11月20日に発表した月例経済報告で、物価動向は「緩やかなデフレ状況にある」とし、3年5カ月ぶりに「デフレ宣言」をした。これに対して内閣府の津村啓介政務官は、このタイミングで「デフレ宣言」をした大きな理由として、実質国内総生産(GDP)が名目GDPを上回る名実逆転に着目したことをあげ、この点を「新政権ならではの切り口」と強調したという。

 名目GDPを実質GDPで除したものをGDPデフレーターと呼ぶ。わが国では98年4〜6月期にGDPデフレーターがマイナスになり、デフレ状態に陥っていたが、月例経済報告では2001年3月に「持続的な物価下落」をデフレと定義してようやく認めたことを津村氏は指しているのだろうが、GDPデフレーターで判断するのは実は経済学では常識だ。

 デフレは物価が下がるのだから消費者にとっては良いことだと考えるのは、早計だ。物価が下がれば企業収益が悪化、その結果として賃金も下がる。一方で現預金・負債とも価値が上がるので、現預金の多い人と、負債が多い人の間では、実質所得移転による格差が拡大する。2001年度の経済財政白書では「良いデフレ論」を取り上げ、内外価格差や新製品の価格下落などは「相対価格」の変化であり、「一般物価水準」が下落するデフレとは異なる問題だとして、デフレを良い、悪いと分類することに否定的な見解を取った。経済学者のケインズが「インフレと違ってデフレは百害あって一利なし」と言ったのは正しいのだ。

 では、どうやったらデフレを抜け出せるか。内閣府は7〜9月期には35兆円の需要不足があったと試算している。まずはその需給ギャップを埋めるのが手っ取り早いが、今の財政状態を考えると財政出動には限界がある。そこで重要なのが金融緩和政策だ。日銀の白川方明総裁も遅ればせながら30日にはデフレを認め、政府と歩調を合わせることを明らかにした。デフレの進行で実質短期金利の一部はわが国が米国を上回っており、円高ドル安の要因にもなっていることを考えると、量的緩和政策の一層の拡大が望まれるところだろうし、もう一度インフレターゲティング政策を取りざたしてもいいのではないか。


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