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2010年4月5日
相次ぐ経営統合決裂

 キリン・サントリーに始まって三菱自動車・プジョー・シトロエングループ(PSA)と、ここにきてわが国を舞台にした経営統合交渉の決裂が相次いでいる。

 キリン・サントリーの場合、ネックはサントリーの創業家一族の権利について溝が埋まらなかったのが原因とされる。具体的にはサントリーの発行済み株式数の89.33%を保有する寿不動産が、経営統合後も株主総会での重要議案に対する拒否権を持つ株式総数の3分の1以上を保有するための統合比率にしたかった。創業家を他の株主よりも優遇することになりかねないサントリーの意向は、上場企業であるキリンにとっては受け入れがたかったのも理解できる。  

三菱自動車・PSAの場合は、三菱自動車にとって虎の子の電気自動車「アイミーブ」に関連する技術をPSAが取得するかどうかでもめた模様だ。三菱自にとっては三菱グループに発行した優先株の配当が2010年3月期から始まる。業績は回復基調であるとはいえ、年間200億円の配当負担が重いことから資本提携を狙っていただけに、キリン・サントリーよりも交渉決裂のダメージは大きいに違いない。

 では、両社に共通点はあるか。徒然草にこんな一文がある。
「たとへば碁をうつ人の、一手もいたづらにせず、人にさきだちて、小を捨て、大につくがごとし。それにとりて、三の石を捨て、十の石につくことはやすし。十を捨てて、十一につくことはかたし」

 サントリーも三菱自動車も小を捨てて大につく必要性は感じていたかもしれないが、おそらく自社を三ではなく、十と見ていたに違いない。しかし、自社の企業価値が将来にわたって十を維持できるのかどうかは別問題だろう。食品メーカーは川上(穀物メジャー)と川下(大手スーパー)の狭間にあるし、自動車メーカーも中国やインドなどの追い上げが急だ。

 「鳥の目、虫の目、魚(さかな)の目」という言葉がある。鳥の目はマクロを見る目、虫の目はミクロを見る目で、魚の目とはトレンド(潮目)を見る目だ。両社の経営トップは未来を見通す魚の目を、はたして持ち合わせていたのだろうか。結果は数年後にはっきりするはずだ。


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