2005年10月の景気動向調査
景気DIは46.0、今回の景気回復局面での最高を2カ月連続更新
2005年10月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比0.5ポイント増の46.0となった。4カ月連続の改善で、2004年7月(45.4)を上回った前月に続き、2カ月連続で今回の景気回復局面での最高水準を更新した。
このところの景況感改善は、政府・日銀の景気踊り場脱却宣言や国内景気の調整局面からの脱却を示す経済統計が相次ぐなど、国内景気の再拡大局面入りが確認されたことが背景にある。
10月に入ってからも、機械受注統計や雇用統計などで国内景気が順調に回復していることが裏付けられたほか、国内物価の前年比マイナス幅縮小によりデフレ脱却への期待も高まり、『金融』や『建設』、『不動産』、『サービス』などの内需関連業界をはじめ多くの業界で景況感が改善した。
また、景気回復のすそ野拡大を背景に、これまで回復の遅れていた「中小企業」や「地方圏」の景況感の改善が続き、規模間・地域間の格差が縮小していることも、全体の景況感の押し上げにつながった。
一方、「鉄鋼・非鉄・鉱業」や「パルプ・紙・紙加工品製造」など一部の業種では、「材料の値上げ分を販売価格に転嫁できる状況にはない」(建設用金属製品メーカー、大分県)、「原料高・製品安の状況」(包装資材加工、東京都)との声にも表れているように、原油価格の高止まりの影響を受け景況感に停滞がみられた。
今後については、「1年後」の先行き見通しDIが前月と同水準だったものの、「3カ月後」、「6カ月後」は前月より悪化したことで、すべてが同水準(49.7)で並んでおり、中・長期的な景気回復の持続力に慎重な見方が残っていることが示されている。
特に、原油高リスクの高まりや価格維持を目的とした減産によって「鉄鋼・非鉄・鉱業」で先行き不透明感が漂っているうえ、デジタル関連業界も大手電機メーカー各社の2005年度中間決算をみる限り未だ楽観できる状況にはない。
国内経済は、『不動産』や『サービス』に代表される内需関連業界や国際競争力を維持している「機械」、「自動車」など一部の外需業界が引き続き牽引するものとみられる。しかし、年末の需要期に入る原油の価格再騰リスクがくすぶり続けていることに加え、IT関連業界が好況局面入りするにはまだ時間を要するとみられることから、しばらくは緩やかな回復にとどまるものと思われる。