2010年1月の景気動向調査
景気DIは25.1で3カ月ぶりに改善、国内景気は外需主導が鮮明に
< 2010年1月の動向 : 踊り場局面 >
2010年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.2ポイント増の25.1と3カ月ぶりに改善した。
中国やインドなどアジアを中心とする新興国の需要増が企業の生産活動を底上げし、『製造』(26.6)が2カ月ぶりに改善。また、政策効果に息切れがみられるものの、『小売』(25.9)も2カ月ぶりの改善となり、『建設』(21.0)『不動産』(26.2)『サービス』(26.6)などもそろって改善した。しかし、これら内需関連業界は2009年秋以降の悪化をやや戻したに過ぎず、底入れ後の最高を更新した『製造』とは対照的となり、『小売』は2カ月連続で『製造』を下回った。
デフレが進行するなか、企業の収益環境は厳しさを増しており、雇用環境の悪化や所得の減少、これにともなう先行き不透明感の増幅も家計の生活防衛意識を一段と強め、内需の停滞に拍車をかけている。
国内景気は踊り場局面に踏みとどまっているが、外需主導が鮮明となっている。
① 新興国の需要増により、『製造』は底入れ後の最高を更新
・中国やインドなどアジアを中心とする新興国の需要増により、自動車や電機、化学関連などで生産活動の復調が続いた。本格回復には至っていないものの、『製造』は改善基調を持続し底入れ後の最高を更新。これにけん引され『卸売』も最高を更新した。
② 家計部門の低迷により、『小売』『サービス』など内需関連業界の停滞続く
・雇用環境の悪化や所得の減少により、家計部門は低迷が続き、『小売』や『サービス』などはリーマン・ショック後に最も改善を示した2009年中盤の水準を下回ったままで、内需関連業界の停滞が続いた。
③ 企業の収益環境厳しく、国内景気は一段の回復には至らず
・長期化する需要不足や低価格戦略の広がり、デフレも進行するなかで、企業の収益環境は厳しさが続いた。個人消費は伸び悩み、公共投資の抑制や民間設備投資の低迷も続いたことで、国内景気は一段の回復には至らなかった。
< 今後の見通し : 踊り場局面 >
新興国の需要増により、企業の生産活動が底上げされ、大手製造業など一部では輸出の増加による業績改善が見込まれる。これにより、国内設備投資の緩やかな回復も期待される。また、家計支援としてこれまでの政策に加えて、子ども手当や住宅版エコポイントなどが一定の下支え役になるとみられる。
しかし、企業の海外投資が加速するなかで、国内の設備投資が幅広く回復するかは不透明な状況にある。バンクーバー冬季五輪やサッカーワールドカップ南アフリカ大会などの世界的なスポーツイベントにも期待はかかるが、雇用や所得に早期改善の見込みがないなかでは、消費マインドの大幅な改善は見込めない。
景気予測DIは「1カ月後」(25.6、当月比0.5ポイント増)、「3カ月後」(27.1、同2.0ポイント増)、「6カ月後」(27.8、同2.7ポイント増)となった。
内需の下振れによる二番底懸念は残るものの、国内景気は外需主導によって踊り場局面を維持することが見込まれる。