2010年2月の景気動向調査
景気DIは26.7で2カ月連続改善するも、国内景気は依然として弱含み
< 2010年2月の動向 : 踊り場局面 >
2010年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.6ポイント増の26.7と2カ月連続で改善した。
業界別にみると、『製造』(28.2)が中国やインドなど新興国の需要増にけん引されて改善を続けたほか、『小売』(26.7)や『サービス』(28.0)などもそろって改善した。特に、『製造』は2009年春先の景気底入れ後の最高を大幅に更新しており、好調な外需が国内景気を主導する構図がより鮮明となった。また、力強さには欠けるが政策的な下支えが継続していることで、2009年秋以降に息切れがみられた内需関連業界も、底入れ後の最高水準まで戻している。
外需の増加に内需の底上げが加わることで、一部大手では業績回復が顕著となり始めている。しかし、多くは業績低迷が長期化しており、家計の生活防衛意識も根強い。企業の投資活動も停滞が続いており、『製造』や『小売』『サービス』などはいずれもリーマン・ショック前の水準を回復していない。
国内景気は踊り場局面を脱しつつあるが、依然として弱含んでいる。
① 新興国の需要増により、『製造』は底入れ後の最高を大幅に更新
・中国やインドなどアジアを中心とする新興国の需要増によって、電機や機械、化学関連などで生産活動の回復が続いた。一部大手では業績回復にもつながっており、『製造』は2009年春先の景気底入れ後の最高を大幅に更新した。
② 政策的な下支えにより、『小売』『サービス』など内需関連業界も底上げ
・企業は低価格、内食志向の需要を取り込み、力強さには欠けるものの政策的な下支えの継続、中国の春節需要もあって『小売』、『サービス』などが改善。いずれも景気底入れ後の最高水準まで戻しており、内需関連業界も国内景気の底上げに寄与した。
③ 家計部門、企業部門とも低迷続き、国内景気は依然として弱含み
・雇用や所得の悪化により家計の生活防衛意識は根強く、企業部門でも設備投資や人的投資の低迷が続いた。また、原材料価格の上昇に対して販売価格は低下傾向を強いられるなど、需要縮小のなかで収益性は厳しく、国内景気は依然として弱含みとなった。
< 今後の見通し : 緩やかな回復局面 >
新興国における個人消費や設備投資などの需要増によって、国内製造業の生産活動は回復傾向が続くとみられる。新年度以降は、子ども手当や住宅版エコポイントなど家計支援による需要の底上げも幾分期待され、固定費の削減や取引先の見直しによるコスト削減など収益構造の転換を進めてきたことも奏功して、大手製造業を中心に業績改善が見込まれる。
しかし、需要不足の解消には至らず、国内の設備投資や人的投資は今後も引き締め傾向となる可能性が高い。新興国の成長拡大により原材料価格は上昇傾向にあり、雇用悪化や所得減、デフレの長期化なども、全体の改善を妨げる重しとなる。
景気予測DIは「1カ月後」(27.5、当月比0.8ポイント増)、「3カ月後」(29.1、同2.4ポイント増)、「6カ月後」(30.2、同3.5ポイント増)となった。
国内景気は外需がけん引して緩やかな底離れが見込まれるものの、内需は弱く、本格回復にはほど遠い局面が続くとみられる。