2010年4月の景気動向調査
景気DIは30.7、4カ月連続で改善し、リーマン・ショック前の水準を回復
< 2010年4月の動向 : 回復局面 >
2010年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.9ポイント増の30.7となり、4カ月連続で改善して、1年8カ月ぶりにリーマン・ショック前の水準(30.3:2008年8月)を回復した。
業界別にみると、『製造』(33.4)が好調な外需にけん引されたほか、国内でも政策的な消費喚起や緩やかな自律回復の動きによって改善を続け、リーマン・ショック前の水準を回復し、10業界中で2004年4月以来6年ぶりにトップとなった。また、家電やスーパーなどの『小売』(30.1)や外食などの『サービス』(31.5)も改善し、内需関連業界も緩やかな回復の動きが続いた。
全国的に広がった真冬並みの寒気の影響で、食品や衣料品が悪化し、観光やレジャー関連が伸び悩んだことで、全体の改善幅(1.9ポイント)は前月(2.1ポイント)には及ばなかったが、内外需の底上げにより改善基調を持続。
国内景気は依然として力強さには欠けるが、着実に回復を続けている。
① 好調な外需や消費喚起、緩やかな自律回復の動きによって、幅広い業界で改善続く
・中国やインドなどアジアを中心とする需要増で生産活動の回復が続いたほか、エコポイント制度やエコカー減税・補助金などの政策的な消費喚起、緩やかな自律回復の動きも加わって、内外需の幅広い業界で改善傾向が続いた。
② 政策頼みの面強く、真冬並みの寒気も影響し、『小売』は『建設』『不動産』に次ぐ低水準
・スーパーや外食が改善するなど緩やかな自律回復の動きはみられるが、『小売』は1年5カ月ぶりに全国の景気DIを下回り、10業界中(『その他』除く)では『建設』『不動産』に次ぐ低水準となった。『小売』は回復力弱く、息切れの兆しもみられる。
・また、全国的に広がった真冬並みの寒気が影響して、食品や衣料品関連業種が悪化したことも、『小売』の改善幅の抑制につながった。
< 今後の見通し : 回復見込みだが、地域や業種間では格差拡大の可能性も >
中国やインドなどアジアの好調な外需によって、国内の生産活動は回復が続くとみられる。これまでコスト削減を強化してきた大手を中心に、業績の上振れも目立っており、新年度より開始された子ども手当や高校授業料の実質無償化などの家計支援、企業の低価格戦略の広がりも、需要の底上げにつながることが期待される。
ただ、企業の投資姿勢に大幅な改善は見込めず、雇用や所得面でも早期回復は期待できない。政局は混迷の度を深め、今後の政策見通しが不透明さを増していることも、家計の生活防衛意識緩和の妨げとなっており、自律回復の動きが本格化する環境にはない。また、家電エコポイントの制度改定(2010年4月)やエコカー補助金の終了(同年9月)などこれまでの政策の反動減のほか、デフレ下において、新興国の需要増を背景とした原材料価格の上昇も大きな懸念材料となる。
景気予測DIは「1カ月後」(32.9、当月比2.2ポイント増)、「3カ月後」(35.9、同5.2ポイント増)、「6カ月後」(37.5、同6.8ポイント増)となった。
国内景気は外需主導で回復が見込まれるものの、地域や業種間では格差拡大の可能性もある。