2010年7月の景気動向調査
景気DIは33.5、国内景気は回復基調を維持するも、力強さに欠ける
< 2010年7月の動向 : 回復局面 >
2010年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.2ポイント増の33.5となり、7カ月連続で改善した。
業界別にみると、『製造』(36.7)が中国やインドなどアジア圏の好調な需要にけん引されて改善を続けた。『小売』(33.7)や『サービス』(33.7)、『不動産』(33.4)など、内需関連業界も改善基調を持続した。
しかし、内需は政策頼みによる特需の面が強く、一部消費財では猛暑による需要増がみられたものの、自律回復の動きは弱い。『製造』では欧米の景気減速や円高なども影響したことで、これまで国内景気の回復をけん引してきた電機や自動車関連業種の改善ペースがいずれも大幅に縮小し、国内製造業には変調の兆しも表れ始めている。
国内景気は回復基調を維持しているものの、力強さに欠けている。
① 外需や緩やかな内需回復で、『製造』『小売』『サービス』など幅広い業界で改善持続
・新興国の需要増や緩やかな内需の回復によって、『製造』では機械や化学、鉄鋼などが改善し、関連する『小売』や『サービス』でも改善基調が続いた。
② 内需は政策頼みによる特需の面強く、自律回復の動きは弱い
・エコカー減税・補助金や家電エコポイント制度など政策支援の効果が特需につながっていることで、『小売』では家電や自動車関連業種の改善基調が続いた。
・一方、梅雨明け後の連日の猛暑により一部消費財では需要増がみられたが、消費マインドの改善は鈍く、価格競争も一段と激化するなかで、『小売』では飲食料品や衣料品関連業種が2カ月連続で悪化するなど、依然として自律回復の動きは弱い。
③ 欧米の景気減速や円高などで、国内製造業には変調の兆し
・『製造』は欧米の景気減速や円高(ドル安、ユーロ安)なども影響し、「電気機械製造」や「輸送用機械・器具製造」の改善幅は同0.7ポイント、同0.3ポイントといずれも大幅に縮小し、国内製造業には変調の兆しも表れ始めている。
< 今後の見通し : 回復続くが、踊り場局面入りの可能性も >
国内では家電や自動車向けの政策支援が期限を迎えつつあるなかで、自動車販売店や家電量販店などは需要獲得を狙った商戦を活発化させており、これらが内需の底上げに寄与するとみられる。また、中国やインドなどの好調な新興国需要によって、大手企業を中心に業績回復が見込まれる。
しかし、欧米の景気減速や円高の定着により、今後の輸出動向にはやや厳しい見方を示す企業も増加している。一部の自動車部品メーカーでは、エコカー補助金の2010年9月末の期限切れを前に減産の動きも表れ始めており、各種政策支援の期限切れ後は国内景気が伸び悩む可能性もある。自律回復の動きが弱く、デフレも長期化するなか、各業界では経営基盤の安定・強化を図るべく海外シフトの動きを加速させており、今後の国内における設備投資や雇用動向も不透明である。
景気予測DIは「1カ月後」(34.8、当月比1.3ポイント増)、「3カ月後」(35.5、同2.0ポイント増)、「6カ月後」(35.0、同1.5ポイント増)となった。
国内景気は回復基調の持続が見込まれるものの、踊り場局面に入る可能性もある。