2010年9月の景気動向調査
景気DIは32.7で2カ月連続悪化、国内景気は失速が鮮明
< 2010年9月の動向 : 踊り場局面に入りつつある >
2010年9月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.5ポイント減の32.7となり、2カ月連続で悪化した。
業界別にみると、『製造』(35.3)や『卸売』(32.8)、『小売』(31.8)、『サービス』(33.1)などが2カ月連続で悪化した。
特に、『小売』はエコカー補助金の終了によって「自動車・同部品小売」が調査開始以来、最大の悪化幅を記録。また、『製造』でも電機や自動車関連業種などが2カ月連続で悪化した。円高や不安定な米欧の景気動向による外需の減速に加えて、自律回復の動きが弱いなかで政策支援が終了となった影響の大きさも浮き彫りとなっている。
国内景気の失速は鮮明で、踊り場局面に入りつつある。
① 円高や外需の減速により、『製造』が2カ月連続で悪化
・一時1ドル=82円台に突入した円高に対して政府・日銀は15日、6年半ぶりの為替介入を実施したが、効果は限定的で、輸出企業の収益性にとって厳しい水準が継続。米内需の低迷による外需の減速も影響し、「輸送用機械・器具製造」(39.7)をはじめとして『製造』は2カ月連続で悪化した。
②政策支援の終了により、自動車関連業種など幅広く悪化
・エコカー補助金が予算枠に達し9月7日に終了したことで、「自動車・同部品小売」(31.9)は前月比10.8ポイント減と調査開始以来、最大の悪化幅を記録。厳しい雇用環境や所得低迷の長期化で個人消費は停滞が続き、『小売』は2カ月連続で悪化した。
→ 自律回復の動きは弱く、国内景気がリーマン・ショック前を回復したに過ぎない水準のなかでの政策支援の終了は、自動車メーカーや機械・部品メーカー、卸売、小売、運輸、人材派遣サービスなど幅広い業種に影響を与えた。
< 今後の見通し : 踊り場局面 >
2010年度上半期の企業業績は、大手製造業やアジア需要を取り込んだ小売業やサービス業などを中心に回復がみられた。アジアは今後も堅調な成長持続が見込まれており、第2次菅政権による矢継ぎ早の景気対策の実施も見込まれる。
しかし、米景気の減速やEUの金融不安、円高、尖閣諸島をめぐる中国との政治的緊張が経済活動に及ぼす影響など懸念材料は多い。国内では需要不足とデフレが続くなか、幅広い業界で海外シフトの動きが活発化している。2011年1月には家電エコポイント制度が縮小され、同年3月には適用期限を迎えることとなるが、景気が弱含むなかでの政策支援の終了は一段の下振れを招く恐れがある。財政不安も根強いことから、今後の金融政策の動向が注目される。
景気予測DIは「1カ月後」(31.1、当月比1.6ポイント減)、「3カ月後」(30.0、同2.7ポイント減)、「6カ月後」(30.1、同2.6ポイント減)となった。
国内景気は踊り場局面が見込まれるが、一時的に大幅な悪化に陥る可能性もある。