2010年12月の景気動向調査
景気DIは32.9、回復力弱く、国内景気は踊り場局面が続く
< 2010年12月の動向 : 踊り場局面 >
2010年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント増の32.9となった。2カ月連続で改善したものの、その改善幅は0.6ポイントと2010年のなかでは6月と並び最小で、水準も今回の景気回復局面で最高となった33.5(2010年7月)には戻していない。
外需は中国などの新興国を中心に好調で、内需も年末需要や家電、住宅などに対する政策支援で個人消費が下支えされたほか、下旬には寒気の流入によって季節需要も刺激され、企業では生産活動の改善基調が続いた。
しかし、景気DIがリーマン・ショック前の水準を回復したに過ぎないなかで、いまだ雇用や所得環境は厳しく、エコカー補助金の終了や家電エコポイントの縮小が一段の改善に水を差す要因となっている。原材料高の一方、デフレで企業の収益性は厳しく、為替は一時1ドル=81円台に戻すなど円高水準の長期化も改善の重しとなっている。国内景気の回復力は依然として弱く、踊り場局面が続いている。
・好調な外需や内需の下支えにより、企業の生産活動は2カ月連続で改善
好調な外需や内需でも年末需要や政策支援、季節需要などで下支えされたことにより、2010年12月の製造業の「生産・出荷量DI」と「設備稼働率DI」はいずれも2カ月連続で改善した。また、それにともなって「時間外労働時間DI」も改善傾向を続けている。
・原材料価格の上昇やデフレ、円高などで企業の収益性は厳しさ増す
2010年12月の全体の「売り上げDI」は2カ月連続で改善した。しかし、原材料価格の上昇傾向によって「仕入れ単価DI」が50を上回って2010年での最高を更新した一方、「販売単価DI」は円高やデフレなどの影響を受けて低水準での推移が続き、企業の収益性は厳しさを増している。
< 今後の見通し : 踊り場局面 >
内需では一部の低価格品や高付加価値品が好調で、低金利を活かした消費や投資活動も見込まれるが、家計では生活防衛意識が根強く、企業においても国内の設備投資や雇用者数の大幅増加は期待できない。相次ぐ政策支援の終了も下押し要因となる。
ただ、大手を中心に2010年度の企業業績は前年度比で回復が見込まれ、2011年度も新興国などの好調な外需獲得へ向けた動きが活発化するとみられる。原材料高や円高などは不安定要素であり、政策見通しにも不透明感は漂うが、政府の新成長戦略を柱とした法人課税の実効税率引き下げなど新政策にも期待がかかる。
景気予測DIは「1カ月後」(32.8、当月比0.1ポイント減)、「3カ月後」(34.3、同1.4ポイント増)、「6カ月後」(35.7、同2.8ポイント増)となった。
国内景気は極めて緩やかな回復にとどまり、踊り場局面が続くことが見込まれる。