2015年1月の景気動向調査
悪化傾向に歯止め、原油価格下落が下支え
■調査結果のポイント
- 1月の景気DIは前月比0.9ポイント増の43.9となり、6カ月ぶりに改善した。原油価格の急速な下落による企業のコスト負担軽減を通じた好影響が表れはじめている。また、円安は飲食店などインバウンド消費を促し、これら外部要因が改善したことで、国内景気は悪化傾向に歯止めがかかった。今後の国内景気は、力強さに欠ける内需を外部要因の改善が補いつつ、おおむね横ばい圏内で推移すると見込まれる。
- 業界別では『小売』『卸売』『サービス』『不動産』など10業界中7業界が改善した。特に、ガソリンスタンドや燃料小売などでは、原油価格の急速な下落による仕入価格と販売価格の改定スピードの時間差を通じた利益回復がみられた。また、円安の定着を受けた訪日観光客数増加による支出拡大も、『サービス』の景況を大幅に改善させる一因となった。
- 地域別では、『東北』や『北陸』『九州』など10地域中9地域が改善した。『九州』は観光関連需要が好調だったほか、唯一、輸出企業の景況感が前年同月比で改善するなど円安の恩恵を受けた。
< 2015年1月の動向 : 悪化傾向に歯止め>
2015年1月の景気DIは前月比0.9ポイント増の43.9となり6カ月ぶりに改善した。
1月の国内景気は、①原油価格急落による好影響の広がり、②円安によるインバウンド消費の拡大が特徴的に表れた。ガソリンスタンドなど一部の小売業界では、原油価格の急落により、販売価格の値下げよりも仕入価格の低下スピードが速く進んだタイムラグによる収益回復もみられ、前月まで限定的だった影響が徐々に広がりをみせている。また、円安傾向の継続は訪日観光客の増加につながっており、飲食店や家電小売などで好調な売れ行きを示した。ただし、輸出企業への円安効果は地域間でバラツキがみられ、メリットを大きく受けた『九州』では大企業の景況感が全国で最も大きく改善した。
国内景気は、原油価格の急速な下落にともない企業のコスト負担軽減効果が徐々に表れはじめるなど外部要因が改善したことで、悪化傾向に歯止めがかかった。
<今後の見通し :横ばいで推移 >
原油価格下落による企業のコスト負担軽減という好影響が、徐々に広がっていくとみられる。また、2014年度補正予算の執行や法人実効税率の引き下げなどの経済対策はプラス材料といえよう。さらに、地方創生が動きはじめるなかで、地域経済の回復に向けた動きが活発化すると予想される。円安傾向はメリット・デメリット双方の要因をはらみ、輸出拡大や原材料価格上昇で、企業活動への影響が二極化する可能性もある。また、人手不足によるコスト上昇は今後も継続するとみられるほか、統一地方選による公共工事執行への影響や賃金動向にも注視する必要があろう。
今後は、力強さに欠ける内需を外部要因の改善が補いつつ、おおむね横ばい圏内で推移すると見込まれる。