2015年9月の景気動向調査
二極化進む国内景気、2カ月連続後退
■調査結果のポイント
- 9月の景気DIは前月比0.5ポイント減の44.6となり、2カ月連続で悪化した。国内の設備投資が軟調に推移したなか、集中豪雨などの天候不順や公共工事の減少は地域経済を下押しする要因となっている。国内景気は、生産活動に弱含みがみられており、二極化が進んでいる。今後は、年明け以降に徐々に上向いていくとみられる。
- 業界別では『製造』『卸売』『サービス』『金融』など5業界が悪化した。自動車や電気機械向けの工作機械や産業機械など機械関連の生産低迷が関連業種へと波及している。また、集中豪雨は生鮮食品の価格高騰のほか、公共工事の進捗の遅れをもたらす要因ともなった。
- 地域別では、『北関東』や『近畿』、『四国』など7地域が悪化、『中国』と『九州』の2地域が改善、『北海道』が横ばいとなった。特に『北関東』では、資材調達やレジャー関連などで豪雨被害の影響が大きく出たほか、中国経済の減速が域内製造業の輸出や受注減少につながった。
< 2015年9月の動向 : 二極化進む >
2015年9月の景気DIは前月比0.5ポイント減の44.6となり2カ月連続で悪化した。
9月は、台風などによる天候不順に加えて、国内の設備投資が軟調に推移したほか、国内自動車生産の低迷や中国経済の減速により、工作機械の受注が大幅に減少した。さらに、関連する製造業や卸売業へと波及していったことで、全体の景況感を押し下げる要因となった。また、公共工事は依然として減少が続いているうえ、地域により増減傾向が異なるため、減少した地域の経済を悪化させる一因となった。他方、ガソリンや軽油価格の低下でコスト負担が緩和したことや、住宅着工戸数の増加により建設業が改善したことで資材運搬の荷動きが上向いたこともあり、『運輸・倉庫』は3カ月連続で改善した。
国内景気は、国内外の不安定な経済状況を受け生産活動に弱含みがみられることに加え、集中豪雨により経済が下押しされ、二極化が進んでいる。
< 今後の見通し : 年明け以降に上向き >
8月下旬以降の株価急落の影響に対する不透明感が増している。さらに、中国経済の先行き懸念にともなう輸出減少や設備投資意欲の低下のほか、米国の金利引き上げ懸念も加わり、しばらくは停滞した状態で推移するとみられる。しかしながら、ひっ迫する労働需給は雇用者所得を増加させ、個人消費を押し上げる要因となる。公共工事の発注増加が見込まれるが、景気の行方は来年の参議院選挙に向けた景気対策次第ともいえよう。また、2014年4月の消費税率引き上げ時にみられたように、次回の税率引き上げにともなう駆け込み需要も住宅などを中心に2016年度初めから発生すると予測される。
今後の国内景気は、好転への材料が乏しいものの、年明け以降に徐々に上向いていくとみられる。