2017年6月の景気動向調査
夏のボーナスが個人消費を刺激し、回復続く
■調査結果のポイント
- 2017年6月の景気DIは前月比0.3ポイント増の46.8となり、前月の横ばいを挟みながら改善傾向で推移した。国内景気は、夏のボーナスが個人消費を刺激したほか、自動車関連生産の好調やIT需要の拡大が寄与し、回復が続いた。今後の国内景気は、海外情勢に不透明感は残るものの、輸出や生産の好調を受けた設備投資の拡大や東京五輪特需もあり、回復傾向が続くことが見込まれる。
- 『製造』『小売』『サービス』など5業界が改善、『運輸・倉庫』など4業界が悪化、『建設』が横ばいとなった。特に、耐久消費財関連の小売業が上向いた。また、IoTやAIなどのソフトウェア開発も活発化してきた。しかし、トラックドライバーなどの人手不足は深刻度を増しており、道路運送の景況感は大きく悪化した。
- 『北関東』『北陸』『東海』など10地域中7地域が改善、『北海道』『九州』の2地域が悪化、『東北』が横ばいとなった。『製造』や『小売』が8地域で改善するなど、各地域の基幹産業の改善が全体を押し上げる要因となったものの、深刻な人手不足が続く『運輸・倉庫』は9地域で悪化した。
< 2017年6月の動向 : 回復続く >
2017年6月の景気DIは前月比0.3ポイント増の46.8となり、前月の横ばいを挟みながら改善傾向で推移した。有効求人倍率(5月)が43年3カ月ぶりの高水準となり、日経平均株価も1年半ぶりに2万円を回復した。こうしたなか、夏のボーナスで支給対象者および総額の増加が見込まれることも消費マインドにプラスに働き、耐久消費財関連が好調な『小売』が同1.9ポイント増と大きく改善。加えて、国内や中国向け自動車関連の生産好調および電子部品の輸出拡大を受けた『製造』、IT需要の拡大が追い風となった情報サービスを含む『サービス』が景気を押し上げた。一方で、トラックドライバーの深刻な人手不足が響いた『運輸・倉庫』は悪化した。
国内景気は、夏のボーナスが個人消費を刺激したほか、自動車関連生産の好調やIT需要の拡大が寄与し、回復が続いた。
< 今後の見通し : 回復傾向続く >
国内景気は、世界経済の拡大を受け輸出や生産の好調継続に加え、東京五輪開催に向けた建設関連特需や成長戦略推進が景況感を押し上げていくと見込まれる。また、好調な企業業績や人手不足による省力化需要を受けて大手を中心に設備投資が増加し、良好な雇用環境から個人消費は緩やかに拡大することが予測される。一方で、海外は米連邦準備制度理事会(FRB)のさらなる利上げや資産縮小、日欧EPA(経済連携協定)の行方が注目される。加えて、米欧の政治経済情勢や地政学的リスクの顕在化など、先行きに不透明感は残る。
今後の国内景気は、海外情勢に不透明感は残るものの、輸出や生産の好調を受けた設備投資の拡大や東京五輪特需もあり、回復傾向が続くことが見込まれる。
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