2005年2月の景気動向調査
景気DIは41.9、7カ月連続で悪化
2005年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は41.9となり、前月比0.4ポイント減と2004年8月以降7カ月連続して悪化した。2004年11月(43.5)に直近の最低水準(2004年6月=43.7)を下回ったことで足元経済の減速局面入りが示されたが、2月もその傾向に変化は見られなかった。
2004年7月をピークに景気DIの悪化傾向が続いているのは、国内デジタル景気の減速により、それまで景況感回復の牽引役だった電機・機械業界などで景況マインドが大きく後退し、全体の景況感が押し下げられていることが背景にある。
実際、業種別DIをみると「電気機械製造」は2004年7月のピーク時比11.3ポイント減、「精密機械、医療機械・器具製造」は同8.5ポイント減、「家電・情報機器小売」は同8.1ポイント減と、全体の景気DI差(同3.5ポイント減)を大幅に上回る悪化幅となっている(2ページ参照)。
加えて、高水準ながらもやや落ち着きをみせていた原油価格(中東産ドバイ原油)が2月下旬に東京原油スポット市場で急騰。「鉄やその他素材のさらなる値上げが不安」(製缶板金業、栃木県)との声に表れているように原油高への懸念が再燃し、鉄鋼関連業界やパルプ・紙関連業界、運輸業界などでも景況感悪化に歯止めがかからなかった。
一方、先行き見通しDIについては、3カ月後は前月比悪化したものの、6カ月後、1年後はともに2カ月連続の改善となった。
この背景には、調整が続く国内デジタル景気がここへきて再び拡大軌道をたどるとの期待が高まっていることが挙げられる。それを裏付けるように、「電気機械製造」の先行き見通しDIは6カ月後、1年後ともに前月より改善し、いずれも判断の分かれ目となる50ポイントを超えている。実際に機械受注統計(船舶・電力を除く民需)では、2005年1~3月に前期比9.9%増の受注額を見込むなど国内経済の再拡大を示し始め、それを機に国内株式市場も堅調な展開が続いている。
ただし、国内景気に薄明かりが見えてきたとはいえ、3カ月後の先行き見通しDIの悪化が示すように短期的には調整が続くとの見通しが主流となっている。また、原油価格(同)が3月に入り過去最高値を更新するなど、依然として原油高に伴う内外需への不安は払拭されていない。公共事業費削減に伴う業界間、地域間での景況感格差の拡大や、定率減税の段階的廃止による消費減退懸念など、国内における構造問題も山積している。こうしてみると、景況感について楽観するのは早計と言わざるを得ず、しばらくは現水準での推移が続くと思われる。