2005年3月の景気動向調査
景気DIは43.1、8カ月ぶりに改善
2005年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比1.2ポイント増の43.1となり、2004年7月以来8カ月ぶりに改善に転じた。
2005年に入ってから「6カ月後」、「1年後」の先行き見通しDIが上昇に転じるなど、今年後半に国内デジタル景気が再拡大するとの期待が高まっていたなか、2004年10~12月の実質GDP(改定値)が前期比年率0.5%とプラス成長に浮上。これによって景気の調整局面が早期に終了するとの観測が広がり、これまで悪化の著しかった電機や機械関連業界を中心に景況マインドが大幅に改善した。
また、売り上げDI(対前年同月比)が2カ月ぶりに判断の分かれ目となる50ポイントを超えるなど企業業績は引き続き堅調なうえ、設備投資意欲DI(対前月比)が今年に入りやや改善傾向にあることも、企業の景況感を押し上げたようだ。
先行き見通しDIについても、短期的な調整局面が続くとの見方から唯一悪化が続いていた「3カ月後」が足元の景況感改善を反映して上昇、2004年4月以来11カ月ぶりに先行き見通しDIすべてで改善となった。
しかし、公共事業費削減や定率減税の段階的廃止による消費減退懸念といった国内の構造問題が山積するなか、3月に入りNY原油先物市場で原油価格が2004年10月の最高値を更新。原油高に伴う国内経済への懸念の再燃を受けて、「プラスチック樹脂の価格高騰により仕入価格が上昇しても、加工単価に上乗せすることができない」(プラスチック製品メーカー、埼玉県)との声に表れているように、化学業界や鉄鋼業界では業況の改善が遅れている。日銀発表の3月の企業短期経済観測調査(日銀短観)で業況判断指数(DI)が事前予想以上に落ち込んだのは、払拭されていない先行きへの不透明感を反映したものと言える。
4月以降も原油価格はさらに上昇していることや、先行き見通しDIが改善したとはいえ依然として判断の分かれ目となる50ポイントを下回る水準に過ぎないことから、今後もしばらくは現水準での推移が続く可能性が高い。