2005年4月の景気動向調査
景気DIは43.3、前月比微増のほぼ横ばい
2005年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は43.3となり、前月比0.2ポイント増と2カ月連続の改善となったものの、改善幅は小幅でほぼ横ばいにとどまった。
景況感が改善傾向をたどっているのは、3月に2004年10~12月の実質GDPがプラス改定されたことなどにより、景気の調整局面が早期に終了するとの期待が高まっていることが背景にある。また、堅調な売り上げDI(対前年同月比)が示すように企業業績は引き続き回復基調にあるうえ、設備投資意欲DI(対前月比)が今年に入り改善傾向にあることも、景況感を下支えした。
しかし、4月に入ってから中国でデモや日本製品の不買運動、ストライキが勃発するなど反日感情が表面化。景況マインドの新たな下押し要因となり、3月の改善幅(1.2ポイント)を大幅に下回る伸びにとどまる結果となった。今回、中国リスクに伴う国内経済への影響について尋ねた結果、約8割の企業が「今後の悪影響を懸念している」ことが明らかとなっている。
また、「原料・原油の高騰分を売値に転嫁できず、多くの企業が苦戦している」(金物・ステンレス加工、香川県)との回答に表れているように、依然として高値圏で推移している原油価格動向も、引き続き景況感にマイナスに作用した。
5月に入り原油価格は下落し、中国の反日デモもやや沈静化するなど国内経済へのリスクは低減されつつある。しかし一方で、再拡大の期待が高まっているデジタル景気については、一部電機メーカーの業績回復遅れが示すように未だ楽観できる状況にはない。また、定率減税の段階的廃止や消費税率引き上げ観測の台頭により、個人消費の回復シナリオには不透明感が増している。
こうした先行きに対する強弱感の交錯によって、改善傾向をたどってきた先行き見通しDIは「1年後」が前月より悪化し、「3カ月後」、「6カ月後」もほぼ横ばいとなっており、今後もしばらく一進一退の展開が続くと思われる。