2005年5月の景気動向調査
景気DIは43.5、3カ月連続改善も微増にとどまる
2005年5月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は43.5となり、前月比0.2ポイント増と3カ月連続の改善となった。しかし、前月に続き改善幅は小幅にとどまり、足元経済は依然として強弱感が交錯する踊り場局面にあることを裏付けた。
景気DIは、国内景気の調整局面からの脱却と再浮上への期待の高まりをきっかけに、2005年3月に前月比1.2ポイント増と大幅な改善を見せたが、4月は中国で反日感情が表面化したことや原油価格が再騰したことなどにより、改善幅は大幅に縮小していた。
5月に入り反日デモは沈静化し、原油価格も落ち着いたことで国内経済へのリスクは低減されたものの、日中間は依然として緊張が緩和されていないうえ、原油価格も高値水準に変わりはなく、リスクが払拭されるまでには至らなかった。実際、中国リスクに関しては「中国との経済関係がやや不透明になり、受注環境に陰りが生じている」(建設機械販売、広島県)、原油高リスクに関しては「さらなる素材価格高騰で競争力が低下した」(金属製プレス製品メーカー、新潟県)などの声にみられるように、機械や鉄鋼など外需関連業界を中心に景況感が伸び悩んだ。
一方、ゴールデンウィーク(GW)中の消費効果により、「各種商品小売」や「家電・情報機器小売」、「飲食料品小売」など小売業界の景況感が改善。また、雇用環境の改善などによって不動産やサービスなど内需関連業界のマインドも改善し、全体の景況感を下支えした。
また、今回、原材料価格の上昇による企業への影響を調査したところ、約8割の企業が販売価格へ転嫁できていない実態が明らかとなり、7割以上が今期の業績に不安を抱いていることが判明。景気の再拡大期待の根拠となっている堅調な企業業績予想についても、楽観するのは早計と言わざるを得ない。今後については、景気の踊り場脱出への期待が引き続き高いものの、デジタル景気については「電気機械製造」の6カ月後、1年後の先行き見通しDIが前月より悪化するなど、いまだ楽観できる状況にはない。設備投資については「積極的な企業と慎重な企業が混在している」(光学検査装置メーカー、神奈川県)、在庫調整については「進展して一段落」(Webサーバー販売、東京都)と「先に延びている」(電源装置メーカー、東京都)というように、いずれも見方が二分されているのが実態だ。全体の先行き見通しDIは2カ月ぶりにすべてで改善しているものの「1年後」のDIが「6カ月後」を下回っているのは、景気再拡大への期待が脆弱であることの表れと言える。
国内経済は踊り場からの脱出を模索している状況にあるものの、中国リスクや原油高リスクがくすぶるなかで企業業績への懸念も次第に高まりつつあることから、景気DIはしばらく現水準での推移が続く可能性が高い。