2005年6月の景気動向調査
景気DIは43.0、前月比0.5ポイント減と4カ月ぶり悪化
2005年6月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比0.5ポイント減の43.0となった。原油高リスクや中国リスクなどへの懸念がくすぶるなか、国内景気の調整局面からの脱却と再浮上への期待の高まりを反映して前月(5月)まで緩やかながら3カ月連続で改善してきたが、4カ月ぶりに悪化に転じた。
雇用改善に伴う所得増で個人消費にも回復が窺えるようになるなど、景気の踊り場脱出への期待は引き続き高く、金融や小売など内需関連業界の景況感の改善傾向が持続。また、自動車業界の積極的な設備投資意欲を受け、自動車関連業界でも景況感の改善が目立った。
加えて、ここ数カ月弱含みで推移していた「電気機械製造」が在庫調整の進展期待により前月比で1ポイント以上改善するなど、これまで全体の景況感停滞の一因となっていたデジタル関連業界も比較的堅調だった。
一方、夏場の需要期に入ったことなどを背景に、6月下旬にNY原油先物市場で原油価格が一時1バレル=60ドルを突破。これにより原油高リスクへの懸念が一層深刻化し、「材料価格上昇の製品転嫁がまばら状態である」(金属製品メーカー、大阪府)や「原油価格高騰でフィルム価格が大幅に上がり、末端に転嫁できていない」(樹脂フィルム加工、東京都)などの声に表れているように、鉄鋼関連業界や化学、パルプ・紙、運輸業界など特に原油高の影響を受ける業界でマインドが一段と悪化、全体の景況感を引き下げた。
先行き見通しDIについては、「3カ月後」が前月より若干改善したのみで、「6カ月後」、「1年後」は悪化。いずれも判断の分かれ目となる50ポイントに届いていないうえ、2カ月連続して「1年後」が「6カ月後」を下回るなど、景気再拡大への期待が脆弱であることを示している。
国内経済は、短期的には猛暑による消費喚起が期待されるほか、米中景気への悲観論もやや後退しており、踊り場からの脱出を模索している状況にある。しかし、原油価格が高水準で推移する限り景気DIの本格的な改善は見込めず、しばらくは原油価格の動向を注視しながら一進一退が続くとみられる。