2005年7月の景気動向調査
景気DIは44.0、前月比1.0ポイント増と大きく改善
2005年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比1.0ポイント増の44.0と2カ月ぶりに改善し、2004年9月(44.3)以来10カ月ぶりに44ポイント台を回復した。また、先行き見通しDIも3カ月後、6カ月後、1年後すべてで改善した。
足元の景況感が大きく改善したのは、在庫調整の進展期待や雇用改善に伴う個人消費の回復を受け、国内景気の調整局面からの脱却と再浮上への期待が一層高まっていることが背景にある。これにより、これまで全体の景況感停滞の一因となっていた「電気機械製造」などのデジタル関連業界をはじめ、建設や不動産、小売などの内需関連業界でも景況感が改善した。
特に、「気温の上昇とクール・ビズの導入効果が売り上げ増に一役買っている」(紳士服小売、東京都)との声に象徴されるように、猛暑やクール・ビズ効果などによって「繊維・繊維製品・服飾品小売」の景況感が大幅に改善。小売業界全体の景気DIは10業界中最大の改善幅となり、ほかの業界より回復途上にありながらも2004年7月(42.7)の過去最高水準を回復した。
また、原油価格上昇によって前月(6月)にマインドが大幅に悪化し、全体の景況感の足を引っ張った鉄鋼関連業界や化学業界も、原油価格が依然として高値圏にありながらも堅調な内外需に支えられ底堅かった。
中国人民銀行が7月21日に中国人民元の2%切り上げを実施したが、今後の中今後については、先行き見通しDIの「3カ月後」が前月より0.9ポイント改善しており、引き続き景気再浮上への期待の高さが窺える。しかし、「6カ月後」、「1年後」はいずれも改善幅が0.1ポイントと小幅にとどまり、3カ月連続して「1年後」が「6カ月後」を下回るなど、中長期的な景気回復期待は脆弱であることも示されている。
中国人民銀行が7月21日に中国人民元の2%切り上げを実施したが、今後の中国経済については「中国経済の急激な変化は考えられない」(鉄鋼・同加工品卸、東京都)との見方が大勢を占めているものの、今後、追加引き上げが行われた場合には、国内経済への先行きに対する不透明感となってマイナスに作用する可能性は否定できない。
国内経済は、短期的には踊り場からの脱却期待を背景に緩やかに回復基調をたどるとみられるものの、中国人民元のさらなる切り上げが新たな不安要素として浮上し、原油高リスクも依然払拭されていないことから、判断の分かれ目となる50ポイントを超えて好景気局面入りすると考えるのは時期尚早と思われる。