2005年8月の景気動向調査
景気DIは44.6、前月比0.6ポイント増と2カ月連続改善
2005年8月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比0.6ポイント増の44.6と2カ月連続して改善し、今回の景気回復局面で最高をつけた2004年7月(45.4)まであと0.8ポイントに迫った。
また、先行き見通しDIも2カ月連続して「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」すべてで改善し、改善幅もともに前月を上回った。
このところの足元の景況感改善は、在庫調整の進展期待や雇用改善に伴う個人消費の回復など、内需主導による国内景気の調整局面からの脱却と再浮上への期待が一層高まっていることが背景にある。これにより、前月(7月)は景気DIが前月比1.0ポイント改善し、10カ月ぶりとなる44ポイント台に乗せていた。
こうしたなか、政府が8月の月例経済報告で景気の基調判断を上方修正し、日銀も国内景気の踊り場脱却を事実上宣言。また、2005年4~6月期の国内総生産(GDP、実質、速報値)が年率換算で1.1%成長と3四半期連続のプラス成長を示すなど、国内景気の再浮上を示す指標が相次いだことで、不動産やサービスなどの内需関連業界をはじめ多くの業界で景況感のさらなる改善につながった。
また、参議院での郵政民営化法案の否決は衆議院解散といった一時的な政治の混乱を招いたものの、その後の株価上昇にも表れているように構造改革への期待となり、全体の景況感を押し上げた。
一方、調査期間中に米国でのハリケーン上陸もあってNY原油先物相場(WTI、期近10月物)が一時1バレル=70ドルを突破するまで原油高が進行。この影響を受け、化学業界や一部の鉄鋼関連企業では景況感に停滞がみられた。
今後については、先行き見通しDIがすべて前月より改善していることからも、引き続き景気再浮上への期待の高さがうかがえる。しかし、4カ月連続して「1年後」が「6カ月後」を下回っており、中・長期的な景気回復の持続力には脆弱さも垣間見えるのが実態だ。特に、「原油価格の高騰に伴う原料値上げが懸念材料」(非界面活性剤メーカー、三重県)との声にも表れているように、騰勢を強め
ている原油価格への不安が「鉄鋼・非鉄・鉱業」や「化学品製造」などの業種の先行き期待を萎縮させている(2ページ表参照)。また、ここへきて再び米経済の失速懸念が台頭していることも、外需関連業界を中心に先行きに対して強気になれない一因となっている。
一方、一部の小売やサービス業界、金融業界などでは先行き見通しDIが「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」と先に行くにつれ高く、先行きに対して期待が高まっていることが示されていることから、国内経済は堅調な企業業績の家計部門への波及を背景に引き続き内需関連業界が牽引するとみられる。しかし、原油高リスクや米経済への不安が払拭されない以上、外需関連業界の景況感は伸び悩
むことが予想され、しばらくは緩やかな回復にとどまるものと思われる。