2005年9月の景気動向調査
景気DIは45.5、今回の景気回復局面での最高を更新
2005年9月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比0.9ポイント増の45.5と3カ月連続して改善し、2004年7月(45.4)を上回って今回の景気回復局面での最高水準を更新した。
在庫調整の進展や雇用改善に伴う個人消費の回復期待などにより、国内景気の調整局面からの脱却への期待が高まっていたなか、実際に政府・日銀の景気踊り場脱却宣言や国内景気の再浮上を裏付ける指標が相次いだことで、景況感は順調に改善傾向をたどってきた。
9月も引き続き幅広い業界で景況感がさらに改善したうえ、内需主導が鮮明となったことを受けて回復が遅れていた中小企業の景況感が大きく改善したことで、全体が底上げされた。実際、「金融」や「建設」、「不動産」、「サービス」などの内需関連業界や「中小企業」の景気DIは2004年7月の水準を突破。これまで牽引役だった「外需」、「大企業」が伸び悩むなかで、代わって昨年足を引っ張っていた「内需」、「中小企業」が全体を押し上げている構図が鮮明となっている。
今後については、先行き見通しDIが3カ月連続して「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」すべてで改善し、特に「3カ月後」は14カ月ぶりに判断の分かれ目となる50ポイントを超えるなど、引き続き景気浮揚への期待の高さがうかがえる。
しかし、5カ月連続して「1年後」が「6カ月後」を下回っており、依然として中・長期的な景気回復の持続力には脆弱さが垣間見える状況にある。特に、「原油価格の高騰が多くの製品価格に影響することが懸念材料」(建築用金属製品メーカー、島根県)との声に表れているように、原油高リスクが「鉄鋼・非鉄・鉱業」や「化学品製造」などの業種の先行き見通しを萎縮させている。
また、自動車関連業界の好調や新空港開設、万博開催などのイベントによって足元の景況感が初めて判断の分かれ目となる50ポイントに達した東海地域で、今後の反動を見込んでいる企業が多いことも影響している。
国内経済は、引き続き内需関連業界が底上げするとみられるが、原油高リスクがくすぶり続けている以上、しばらくは緩やかな回復にとどまるものと思われる。