懸念されるエコカー補助金終了後の反動減

第4次補正予算による景気対策としての新エコカー補助金制度(乗用車で10万円、軽自動車で7万円など)の受付が4月2日から始まった。適用期間は2011年12月20日から2013年1月31日までに購入した一定の環境基準を満たした新車を対象とする。


日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がまとめた国内の新車販売は、1月が約41万5,923台で前年同月比36.2%増、2月も51万9,626台で同29.5%増、直近3月は75万1,888台と同71.8%増となった。昨年3月が東日本大震災の影響で集計開始以来3番目の低水準だったこともあるが、販売台数は月を追う毎に右肩上がりとなっている。


これを受けて「自動車・同部品小売」の景気DIも2012年1月41.9(前月比+9.1)、2月48.2(同+6.3)、3月51.5(同+3.3)と3カ月連続で大幅に改善し、2002年5月の調査開始以来、初めて50を上回った。全51業種なかで50を上回っているのは同業種のみであり、まさに政策支援を背景にしたけん引役となっている。


しかし、前回のエコカー補助金は、終了間際の駆け込み申請が増えて、締め切りの約3週間前に当初の予算枠(5,837億円)に達し、申請受付を終了した。今回は予算総額が3,000億円のため、より早い打ち切りが想定される。企業からは、前回のエコカー補助金の締め切り後の反動減の記憶から、早くも「先行きの反動減を懸念する」声が川上から川下まで多く聞かれるようになっている。


昨今の液晶テレビが家電エコポイントの終了により、販売不振と価格下落から収益悪化に陥った現状を報じる声が多いが、度重なるエコカー補助金も家電同様に、その同じ道をたどる懸念があったとしても当然のことである。
現在は、原油価格の高止まりや、消費税率の引き上げ前という環境も手伝って、エコカー購入に踏みきる消費者も多いだろうが、初回登録から廃車までの車両の平均使用年数も長期化傾向(2011年3月末の乗用車の平均使用年数は12.43年)にある。景気の回復が本格化しないなかで内需の回復力は弱く、あらたな需要は当面発生しない需要の先食いにほかならない。
外需の復調に望みをつなぐしかない綱渡りの状況にあるということは企業の共通認識となりつつある。政治は混迷を深めており、その展望がまったくみえないことが、もっとも懸念される。

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