景気DIが初の50台に到達、個人消費の改善がアベノミクスの成功を図る試金石

総務省は1月31日、2013年12月の全国消費者物価指数を発表した。全体では前年同月比+1.6%となり、7カ月連続で物価は上昇した。また、インフレ率の基準指標である生鮮食品を除いた場合では同+1.3%の上昇で、11月(同+1.2%)より上昇幅が0.1ポイント拡大した。特に、品目別にみていくと、電気代(同+8.2%)、ガソリン(同+7.1%)、傷害保険料(同+10.1%)、外国パック旅行(同10.3%)などが物価の上昇に寄与していた。


また、同日に公表された統計をみると(2013年12月分)、労働力調査では就業者数が6,319万人と1年前より91万人増加し(12カ月連続増加)、完全失業率は3.7%と前月より0.3ポイント低下した。さらに、家計調査では、勤労者世帯の実収入(名目)が前年同月比+0.3%増となり、10カ月連続で増加している。過去1年ほどの間、所得・雇用環境は改善が続いているといえ、消費を下支えする要因となっている。


TDB景気動向調査(帝国データバンク)の1月調査結果では景気DIが50.0となり、2002年5月の調査開始以来初めて50台に達した。これまでは震災復興や公共事業の投入(第一の矢)の効果もあり、景気は『建設』関連を中心に上昇してきていた。しかし、1月の景気は『小売』や『サービス』『不動産』の改善が大きく、消費関連業界が全体をけん引する役割を果たしたことがうかがえる。


2012年12月に発足した安倍政権の経済政策(アベノミクス)は、徐々に個人消費へと向かい始めたといえるのではないだろうか。4月の消費税率引上げを控えて、景気の落ち込みを最小限に抑えるためには、個人消費の落ち込みをいかに小さくするかにかかっているといえよう。そのためにも、個人所得が上向き、多くの人が賃金の上昇を実感し、暮らし向きが改善してこそ、アベノミクスは成功したといえるのではないだろうか。そして、その先にデフレ脱却が待っているのである。したがって、アベノミクスの正否は賃金上昇にかかっている。

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