エコノミスト予測の使い方

2014年11月17日、7~9月期の実質GDP成長率が前期比-0.4%(年率-1.6%)と、2四半期連続のマイナス成長であった。7~9月期のGDPは、安倍首相が消費税率再引き上げの判断を行うための重要な指標であったことから、非常に注目度が高かった。


そのため、多くのエコノミストが事前に7~9月期予測を行っていた。結果は、全員がプラス成長を予測しており、マイナス成長と考えていた人は誰もいなかったという。これは、エコノミストたちにとって大きなショックだったと言える。日本の主要エコノミスト42名が参加している「ESPフォーキャスト調査」(日本経済研究センター)では、予測値は下方修正が繰り返されていたが、11月12日に公表された結果は年率で平均2.47%であった。


この結果を受けて、マスコミでは"なぜエコノミストは経済予測を外したのか"を盛んに報じる記事が多くみられた。その1つが「平均の呪縛」と題した記事であろう(日本経済新聞11月24日付け朝刊)。そこでは、エコノミストが平均から離れた予測値を出すことは難しいという意識を指摘している。


確かに、過去の予測をみると、予測値の平均の的中率は高い。それ故に、エコノミストの予測値が平均に近づいていくのは的を射た指摘ともいえるだろう。
しかし、エコノミストの役割として、予測を当てることに主眼が置かれていないことも確かである。もし、予測精度を主眼とするならば、経済状況等を勘案することなく、過去のデータを延長し、その傾向について予測することが最も高い精度を誇ることになる。ただし、なぜそのような予測結果となったかということについては、何も説明できなくなるが・・・。


エコノミストの予測を利用するにはコツがある。最も重要なのは、それぞれのエコノミストが、どのようなことに注目して予測値を算出しているかを比較することである。そうすることで、専門家と呼ばれる人たちが経済の現在や将来を見通すにあたって、何が重要な課題として認識されているかを知ることができる。このような重要課題を外すエコノミストは通常考えられない。もし、そのようなエコノミストならば、それこそ存在価値を疑われてしかるべきであろう。エコノミストは上手に使うべきである。

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