休めない日本!?

4月29日の「昭和の日」から始まった今年のゴールデンウィーク。5月2日に有休をとった人であれば7連休、さらに5月6日にもう1日有休をとった人であれば10連休など、休みに恵まれた人がいた一方、有休取得が難しく、カレンダー通りにしか休めなかったという人も多かったことだろう。厚生労働省が有給休暇の取得状況について調査した「就労条件総合調査」(2015年10月発表)によると、1人あたりの年次有給休暇の平均取得日数は8.8日、有休取得率は47.6%にとどまっており、取得率100%に近い欧州諸国に比べ日本企業における有休取得は極めて低いと言わざるを得ない。


労働政策研究・研修機構の調査(2015年7月発表)によると、労働者が年次有給休暇を取り残してしまう理由として、「業務量が多く休んでいる余裕がないから(休むと後で自分がきつくなるから)」が45.1%を占めトップ。以下、「職場の人に迷惑がかかるから」(41.9%)、「休みの間、代替してくれる人がいないから」(32.8%)、「病気や急用のために残しておいて結局、取り切れなかったから」(25.9%)、「上司や同僚が取らないから」(20.3%)と続き、職場環境による理由が上位を占めている。


政府は、2020年までに有休取得率を70%まで引き上げる目標を掲げている。現在、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対し、年5日分の有給休暇を取得させる義務を企業側に課す方向で労働基準法の改正を進めており、経団連もこれに先駆けて今年3月、有休消化を年3日程度増やすよう会員企業に対して呼びかけている。


2014年にマーサーが発表した年間祝祭日数世界ランキングによると、日本の祝日は15日で第3位となっている。フランスやイタリアの11日、アメリカの10日、イギリスの8日などと比べて日本は祝日が多い。さらに今年からは8月11日が「山の日」となり、祝日は計16日。横並び意識が強い日本では、有給休暇よりも周囲に気兼ねなく休める祝日が多い方が効果的なのかも知れない。あるいは、"日にち"に込められた想いや意味合いは薄れるかも知れないが、連続休暇を消費喚起の起爆剤とすべく、「ハッピーマンデー制度」が適用される祝日を拡大することも一考ではないだろうか。

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