「文化の日」を経済から思索する

11月3日は文化の日。「国民の祝日に関する法律」によると、"自由と平和を愛し、文化をすすめる。"とある。


かつては明治天皇の誕生日である明治節として祝日となっていたが、日本国憲法が1946年11月3日に公布されたことから、"平和への意思を基盤とする文化を、発展・拡大させる"という趣旨で1948年に11月3日が「文化の日」として定められた。


"文化"は非常に多くの要素が含まれるため、その捉え方は個人によりさまざまであろう。


そこで、ここでは経済的視点に焦点を絞って、家計調査(総務省)にある「文化施設入場料」を取り上げてみよう。


文化施設入場料には、美術館や博物館、動物園、社寺などの文化施設の入場料・拝観料が対象となっているほか、サファリパークや水族館、植物園、昆虫展、恐竜展などの入場料も含まれる。


2016年の文化施設入場料の年間世帯当たり支出額は1,885円であった。世帯の家族類型別では、単身世帯が1,046円だった一方、二人以上世帯では2,285円で、1,200円あまり二人以上世帯の方が多く支出している。こうした文化施設には、家族で出かけることも多いことによる影響が表れているとみられる。


また、2007年以降の10年間をみると、年間世帯当たり支出額は平均1,845円となった。東日本大震災があった2011年にやや減少したものの、概ね2,000円弱の支出額で推移している。


では、月別にみるとどうだろうか。過去10年の平均でみると、支出額が一番多いのは8月の月間350円で、次いで5月の294円である(二人以上世帯)。やはり、夏休みやゴールデンウイークなど比較的長期の休みが取れる時期で多くなっている。


ところで「文化の日」を含む11月は189円で4番目に多かった。


「文化の日」は、日本が自由と平和を維持するため、その基盤となる文化を発展・拡大させることが本旨といえる。文化施設は祝日の趣旨である文化を深める教養を身に着ける1つの方法である。他方、現実の生活のなかでは、各家庭で都合の良い時に文化施設を訪れていることも確かである。


重要なのは、1年に一度、こうした思いを巡らすきっかけとする日を設けて、自由と平和の大切さを忘れないことであろう。

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