国際的なイベントが続く日本、減速ぎみのインバウンドは再浮上なるか

今年から来年にかけて国際的なイベントが日本で続く。交通の規制など日常生活への影響が懸念される。一方で、祭典などの開催で国内が活気づくことに加え、世界中から多くの外国人が訪れることで経済の活性化に一役買うことも期待される。


6月28日と29日の2日間にわたり、G20大阪サミットが開催された。世界のGDPの8割以上を占めるG20の各国首脳に加えて、招待国や多くの国際機関も参加。日本が主催するサミットとしては史上最大の規模となる。一部報道によると警察官2万5,000人が配備され、首脳や同行者たちの宿泊先としてホテルの客室は3万人分が押さえられたという。


次に控えるのは、開催まで100日を切ったラグビーワールドカップ。夏季五輪やFIFAワールドカップと並ぶ世界3大スポーツイベントの1つで、今回の日本大会がラグビーのワールドカップではアジア初の開催となる。9月20日から11月2日まで44日間にわたり、北は札幌ドームから南は熊本県民総合運動公園陸上競技場まで、国内12都市の12会場で開催。ラグビーワールドカップ2019組織委員会が発行する「ラグビーワールドカップ2019 大会前経済効果分析レポート」では、経済波及効果が4,372億円、雇用創出効果は2万5,000人にのぼり、大会を目的にした訪日外国人客は40万人と予想する。


そして、2020年の東京五輪。東京都オリンピック・パラリンピック準備局が2017年4月に出した「東京2020大会開催に伴う経済波及効果」によると、経済波及効果は東京都で約20兆円、全国では約32兆円となり、雇用誘発数は東京都で約130万人、全国で約194万人と算出されている。


日本を訪れる外国人観光客数が増加基調にあることは変わりないが、足元でその伸びが鈍化している。日本政府観光局によると、台風21号や北海道胆振東部地震による被害が発生した2018年9月に、訪日外客数は前年同月比で5年8カ月ぶりに減少。その後も、かつてのように再び2ケタ増に戻すことがないまま、現在に至る。2018年の年間訪日外客数は約3,119万人。ラグビーワールドカップを目的にした訪日外国人客が40万人と予想されることから、細かいことは置いておき単純に計算すると、2019年の訪日外客数を1.3%程度押し上げることになる。2020年には東京五輪の開催にともない、さらに多くの外国人が来訪する。


世界のトッププレイヤーが繰り広げる競技の観戦に加えて、日本文化や日本の商品・サービスに触れることで日本の魅力を体感し、2021年以降のインバウンドなどへ結びつくことに期待したい。

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