データで見極める人口動態

2019年の日本人の出生数が86万4千人(推計)と公表され、1899年の統計開始以来、初めて90万人を割り込むもようとなった。将来の日本を支える世代が大きく減少していく未来を国難と表現している媒体も見受けられるが、まさにその通りと感じる。


日本の人口に関連する統計は、国勢調査に戸籍統計、住民基本台帳、出入国管理統計など、さまざま存在している。ちなみに前述した出生数は、厚生労働省が公表している人口動態統計の年間推計結果である。
これらのうち、日本の現況人口を把握するうえで、国勢調査と住民基本台帳の人口データがよく使われている。一見、どちらも人口を把握できるため、なんとなく同じと思われ、違いがあることを気に留めたことがない人もいると思うが、データの計測方法が異なっている。
それは、国勢調査は5年に1度行われ、通常住んでいる場所(常住地)の10月1日時点の人口を把握するのに対して、住民基本台帳は、住民票をもとにした毎年1月1日時点の人口を把握している点である。


当然把握している方法が異なるため、算出される人口には差異がみられる。この点を考慮しなければ正確な数値の把握は難しい。
特徴的な違いをあげると、大学などの高等教育機関がある自治体では国勢調査人口の方が住民基本台帳人口より若者が多くなり、大規模な病院や介護施設がある自治体では、国勢調査人口の方が住民基本台帳人口より高齢者が多くなる傾向がみられる。これらは、主に住民票を移動させずに、親元を離れて暮らしたり、病院に長期間入院したりしていることによって生じている。
企業が市場調査などを行う場合、基礎データとして人口を扱う際には、こういった特性を留意しておく必要がある。時にデータに対する正しい知識を持っていなければ、重要な判断を行う際に、数値に惑わされるかもしれない。真の答えに辿り着くためにはデータの見極めが非常に大切となろう。


2020年は、国勢調査の実施年、1920年から調査が始まって節目の100年を迎える。私も東京五輪のあと10月1日は忘れずに回答しようと思う。

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