「人が動かなくなる!?」~人の移動行動の変化~

中国で発生した新型肺炎、国内でも連日ニュースとなっている。まだまだ収束には時間を要すると思われ、世の中の雰囲気として外出に億劫になっているのではないかと感じる。感染症の流行や気候の変化など人の移動行動は、多様な要因に左右されやすい。


2019年11月下旬、国土交通省関東地方整備局より「第6回東京都市圏パーソントリップ調査[1]」の集計結果の概要が発表された。
本調査では、2018年の総移動回数(総トリップ数)が1978年の調査開始以来、初めて減少に転じ、前回調査(2008年)から約13%減となった。
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また、外出率が調査開始以来最低になったほか、業務と私事目的の1人1日当たりのトリップ数も減少に転じるなど、様々な移動行動において縮小する傾向がみられた。


少し前までアクティブシニアと呼ばれていた高齢者たちも、その外出率は低下しており、特に60歳代の外出率は前回調査と比較して約11.6ポイント減少していた。高齢者向けの旅行商品や登山グッズなどの商品展開が依然見受けられるが、新たな角度からの商品提供の岐路に立っているのかもしれない。
また、業務目的の移動回数を詳細にみると、「販売・配達・仕入・購入先へ」の移動や「打合せ・会議・商談へ」の移動の減少が顕著にみられていた。デジタル技術の発達により、わざわざ相手先に出向いて会議をせず、テレビ会議やチャットワークでのやり取りで事足りていると推察される。例えば、コピーのし忘れなど外出先での急なオフィスニーズに対応した商売が成り立っていた場合、そもそも会社の外に出なくなればそういったニーズは廃れてしまう。同様に、私事目的でも「買い物へ」の移動の減少が目立ち、ECサイトの発達で実店舗へ行かなくとも買い物ができる環境が影響しているであろう。


本調査より東京近郊における人の移動行動は、デジタル技術の急速な発展で過渡期に来ているのではないかと示唆される。今後、リモートワークが進展すればさらに移動機会は、減っていくだろう。「人が動かなくなる」時代が到来するなか、次のビジネスチャンスがどこにあるのか見極める必要があろう。




[1]パーソントリップ調査とは、人(パーソン)の1日のすべての移動(トリップ)を把握する調査。将来のまちづくりや交通計画などを検討するための基礎資料を得ることを目的とし、東京都市圏では10年に一度実施している

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